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【注目トピックス 日本株】天昇電 Research Memo(1):老舗のプラスチック成型品メーカー。自動車向け中心から他分野への展開を図る

*15:31JST 天昇電 Research Memo(1):老舗のプラスチック成型品メーカー。自動車向け中心から他分野への展開を図る
■要約

天昇電気工業<6776>は、1936年(昭和11年)に創業した歴史のある合成樹脂(プラスチック)成形品メーカーである。長い歴史のなかで培われた技術力は高く、顧客との信頼関係も厚い。製品の向け先は幅広い業種に及んでいるが、近年は自動車向けの比率が約60%と高い。今後は、内需向けの製品を拡充し自動車向けの比率を徐々に下げる方針だ。北米での事業については引き続き注力していくが、米国子会社の第三者割当増資(2025年1月)により同社の持分が55.91%から41.40%へ低下したことで連結対象から外れ、2026年3月期からは持分法適用関連会社※となる。

※ 同社の米国子会社が2025年1月に第三者割当増資を行ったことから、同社の持分が55.91%から41.40%へ低下し、同子会社は連結子会社から持分法適用関連会社となった。これにより同社の2025年3月期決算では、貸借対照表ではこの変更が反映されており、損益計算書では事業上の影響はないものの、貸借対照表の変更に伴い持分変動利益602百万円を特別利益として計上した。但し、これは資金の移動を伴う利益ではない。

1. 2025年3月期の業績概要
2025年3月期の連結業績は、売上高27,885百万円(前期比3.6%増)、営業利益914百万円(同13.9%減)、経常利益1,079百万円(同18.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,264百万円(同33.3%増)となった。親会社株主に帰属する当期純利益が増益となったのは、特別利益として持分変動利益610百万円を計上したことによる。国内では、上期に主たる向け先である自動車メーカーの生産調整の影響を受け、通期では減収・減益となった。中国では、物流産業資材及び機構品部品の販売拡大に努めたことから増収を確保したが、費用増により損失を計上となった。米国ではメキシコ第二工場の稼働率上昇に伴い生産量が順調に拡大して増収・増益となった。この結果、営業利益は同13.9%減となったが、ほぼ中間期に修正した予想どおりの結果となった。減価償却費はほぼ前期並みであったことから、償却前営業利益(営業利益+減価償却費)は同4.8%減となった。

2. 2026年3月期の業績見通し
2026年3月期の連結業績は、売上高22,000百万円(前期比21.1%減)、営業利益600百万円(同34.4%減)、経常利益600百万円(同44.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益400百万円(同68.4%減)と予想している。売上高、利益ともに大きく落ち込む予想になっているが、これは米国子会社が第三者割当増資を行い、同子会社が連結対象から外れて持分法適用関連会社になったことによる。自動車生産が前期比では増加すると見ていること、米国での増設の効果がさらに寄与することなどから、同社は「本来の事業としては、10%ほどの増益を見込んでいる」と述べている。数値上は大幅減益予想だが、実態は必ずしも悲観する内容ではないので、今後の展開を注視したい。トランプ関税の影響については、直接の影響はないので2026年3月期の予想には織り込んでいない。

3. 中長期の成長戦略
現在は売上高の約60%が自動車向けとなっているが、今後は雨水貯留浸透槽などの内需型製品の売上高を伸ばすなどして自動車向け比率を35%程度とすることで成長を図る。地域別では、米国での事業をさらに拡大することを目指しているが、今後は持分法適用関連会社として収益に反映される。容易ではないが徐々に進んでおり、これが達成できれば、同社の体質は大きく変わるだろう。ここ数年で財務体質も改善されてきていることから定量的な数値とともに同社の事業体質がどう変わっていくのか、今後に注目したい。

■Key Points
・プラスチック成形品の老舗メーカー。技術力が高く顧客からの信頼は厚い
・2026年3月期は連結子会社除外の影響で営業減益予想だが、実態は10%ほど増益見込み。
・今後は内需型製品及び海外事業の拡大で収益基盤の安定化を図る

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

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