2000年以降の日経平均の月別騰落率をみると、堅調な6月に対して、7月から9月にかけてパフォーマンスは悪化する傾向がある。5月、6月の2カ月間で日経平均は4100円強上昇しているだけに、今年もこうしたアノマリーへの警戒は強まりやすいと考えられる。今週は、7月9日が期限となっている相互関税の一時停止延長がさらに延期されるのか、雇用統計を受けてFRBの早期利下げ実現の可能性が高まるのか、などに注目したい。
7月1日には日銀短観が公表される。大企業製造業DIは小幅な悪化が予想されているが、駆け込み輸出の増加もあって、米国関税策の影響はストレートに反映されていない可能性がある。むしろ先行き見通しの悪化度合いが注視されてこよう。とりわけ、自動車業界のDIに関心が集まりそうだ。また、中小企業の悪化度合いが強まるようであれば、国内個人消費の先行きにも警戒感が強まることになる。さらに、設備投資計画は通常6月調査で上方修正される傾向がある。3月調査では大企業製造業は前年比4.8%増であったが、今回2ケタ増水準まで上方修正されてくるかが焦点となりそうだ。
ホワイトハウス報道官は、7月9日まで一時停止している相互関税の措置について、停止の期限が延長される可能性があると認識を示しており、関税措置は当初よりも緩和されていく方向であろう。ただ、期限延長の可能性は先週末の日本株上昇の一因になったと捉えられ、仮に予定通り発動される事態となれば、ネガティブサプライズにつながろう。また、赤澤経済再生担当大臣が7回目の交渉へ訪米しているが、焦点となる自動車関税交渉の決着も引き続き時間を要するとみられる。なお、米雇用統計は、雇用者数の減少、失業率の悪化が想定されているが、想定通りであれば、平均時給の大幅上昇がない限り、早期利下げへの期待感につながっていく余地が大きいだろう。
今週にかけて、国内では30日に5月鉱工業生産、7月1日に6月日銀短観、6月消費動向調査、2日に6月マネタリーベース、4日に5月家計調査などが予定されている。
海外では、30日に中・6月製造業PMI(国家統計局)、6月非製造業PMI(国家統計局)、欧・5月ユーロ圏マネーサプライ、米・6月シカゴ購買部協会景況指数、7月1日に中・6月製造業PMI(財新)、欧・6月ユーロ圏消費者物価指数、米・6月ISM製造業景気指数、5月JOLTS求人件数、6月自動車販売台数、2日に欧・5月ユーロ圏失業率、米・6月ADP雇用統計、3日に中・6月サービス業PMI(財新)、米・5月貿易収支、6月雇用統計、5月製造業受注、6月ISM非製造業景気指数などが予定されている。なお、4日は独立記念日のため米国市場は休場となる。