日々、マーケットと向き合うシゲルさん
7月9日に期限を迎えた“トランプ関税”の一時停止措置は8月1日まで延長されたが、トランプ氏は「さらなる延長は認めない」と言明。自動車を含む輸入製品への追加関税の再発動リスクが高まっている。これに対し、日本側は関税回避の交渉を続けているが、自動車関税を巡る日米協議は依然として難航中だ。一方、世界の株式市場では米国の利下げ期待とAI(人工知能)ブームを背景にナスダックが連日高値を更新し、日本市場でも日経平均株価が4万円台に一時、再突入。過熱感と警戒が交錯しているが、こうした複雑な国際環境をチャンスと捉える敏腕の投資家もいる。
それが資産20億円超の89歳現役トレーダー「シゲルさん」こと藤本茂さん。著書がベストセラーとなり、海外で翻訳版も発売されるなど世界から注目を集める投資家だ。70年にわたって相場と向き合い、バブル崩壊をはじめとする幾多の危機を乗り越えて資産を築いてきたシゲルさんに、現下の相場状況にどう対応すればいいかを聞いた。
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デイトレードに加え、「増収・増益・増配」に着目した長期投資も手がけるシゲルさんは、情報収集のために午前2時に起床。NY証券取引所の動きを報じる経済番組を流しながら1日の取引の準備を始める。取引時間中にチェックする銘柄は80ほどで、次々と売買を繰り返しては、利益を確定させていく。そんなシゲルさんは回復基調に見える「日経平均」をどう見ているのか。
「6月末に4万円台を回復した日経平均株価も、7月に入ってからは4万円割れが続いていました。そこにきてトランプが日本に『25%』関税をかけると表明した。ホンマむちゃくちゃなことばっかりや。ただ、まあ、そこで株価は動くわけやから投資家としてはこれ以上ないチャンスやろうな。自動車の関税もなくなりそうにないけど、そこはむしろチャンスやと思っています。だからホンダや自動車部品メーカーが安くなったところは買い場と見ています」
シゲルさんは乱高下する市況に一喜一憂するのではなく、あくまで“ぶれない”優良銘柄を選ぶことの重要性を説く。
「今回発表した関税も8月1日までは交渉の余地があるとかなんとかいうけど、トランプがどうするかを一所懸命考えてもしょうがない。トランプの頭の中はわからんし、それよりも株式市場がどう動くかを見ていたほうがよほどええやろうし、より確実に利益が取れる。先行き不透明な相場でも、ええ銘柄を安いところで買う。これしかないんや、株は。それも誰もが知っている『有名銘柄』じゃなくて、中身のいい『優良銘柄』やで。その違いをわかって、こういう時こそ優良銘柄を押し目買いすればええんちゃうかな」
シゲルさんのひとつひとつの売買とその解説から学べるものは大きい。日経平均が4万円台を回復した6月末、東証スタンダードに新規上場したレント(372A)の売買で17万円以上の利益を出すなどしていた。
「マネーポストWEB」では、そうしたシゲルさんの売買履歴の詳細が明かされる連載を掲載している。関連記事『【特別公開!シゲルさんノート】89歳現役トレーダーが新たな有望銘柄として「子供服メーカー」に注目!「だいぶ仕込んでいるからこの先が楽しちゃうかな」と語る』はその最新回だ。
【プロフィール】
藤本茂(ふじもと・しげる)/19歳で株式投資を始め、1986年に転換社債の投資を機に専業投資家になる。66歳でパソコンを買い、ネット取引に移行。70年間、個人投資家として相場に挑み、現在の資産は20億円を超える現役トレーダー。「投資に年齢は関係ない」がモットー。