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FiscoNews

【注目トピックス 日本株】スパークス G Research Memo(3):安定収益と成功報酬による高収益構造

*12:03JST スパークス G Research Memo(3):安定収益と成功報酬による高収益構造
■スパークス・グループ<8739>の会社概要

(1) 日本株式及びOneAsia
スパークス・アセット・マネジメント(株)が「日本株式」、SPARX Asset Management Korea Co., Ltd.及びSPARX Asia Investment Advisors Limitedが主に「OneAsia」分野の運用を担当している。日本株式ロング・ショート投資戦略、日本株式長期厳選投資戦略、日本株式中小型投資戦略、日本株式マーケット・ニュートラル投資戦略、日本株式価値創造投資戦略などの戦略に基づき、株式への投資・運用を行っている。「日本株式」と「OneAsia」の2025年3月期末時点の運用資産残高はそれぞれ12,925億円、1,043億円である。「日本株式」の運用資産残高は前期末比1.6%減少したものの、2025年3月期末の日経平均株価(終値)が同11.8%下落した厳しいマーケット環境を踏まえると、運用資産残高の減少幅を小幅にとどめており、健闘しているといえる。

東証は2023年3月、プライム市場及びスタンダード市場の全上場会社を対象に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の要請を実施した。この要請に基づき、各社は資本収益性の向上や株主還元の拡充などの各種施策を策定し、資本コストを意識しながらキャッシュを効率的に配分することによって企業価値を向上させることに注力してきた。しかし、こうした状況下であっても、PBR1倍未満の企業の割合は減少傾向にあるものの、2025年3月時点においてTOPIX500企業のうちPBR1倍未満の企業の割合は、依然として187社と37.5%を占めている状況にある(Bloombergのデータから引用)。米国や欧州などの市場と比較するとPBR1倍を下回っている企業の割合は相対的に高い。ただこれは裏を返せば、日本企業の企業価値は伸びしろが大きいとも言える。資本コストと株価を意識した経営が企業に浸透してきているなかで、今後も各企業が利益の創出などを通じた企業価値の向上に注力していくことが想定される。企業価値の増大とPBRの上昇を各企業が追求するなか、日本株式に対する投資家の注目度は高位安定して推移することが予想される。このことから、同社の日本株式投資戦略にも安定して投資資金が流入していく可能性が十分にあるものと弊社は見ている。

また、同社の現地運用責任者への教育と質の高い運用体制の構築は順調に進んでおり、「OneAsia」の運用資産残高も堅調に推移していくものと弊社は見ている。特に、アジアの高い成長力を背景に資金流入が加速することが期待される。IMFの最新予測によると、アジア地域の実質GDP成長率は2025年が4.5%、2026年が4.6%、2027年が4.8%(以下、同順)となっている。特に同社が注目しているインドの2025〜2027年成長率はそれぞれ6.2%、6.3%、6.5%であり、インドネシアの2025〜2027年成長率はそれぞれ4.7%、4.7%、4.9%と高い成長が継続することが見込まれている。同社の投資哲学と徹底した企業調査に基づき、高成長が継続する市場で高いポテンシャルをもった企業の発掘が期待できることから、同戦略に対する投資家からの資金流入も膨らんでいく可能性が十分にあると弊社は見ている。

多様な再エネ資産の長期的かつ安定的な運用体制が強み

(2) 実物資産
「実物資産」のうち太陽光発電所などの再生可能エネルギー発電所の開発・管理・運営はスパークス・グリーンエナジー&テクノロジー(株)が担っている。発電所施設の開発段階から運転開始までのフェーズにおける投資・運用(グリーンフィールド投資)はスパークス・アセット・マネジメントが担っている。さらに、運転開始後の発電所施設に投資・運用(ブラウンフィールド投資)するファンドはスパークス・アセット・トラスト&マネジメント(株)が担っている。主な投資実績は、太陽光発電所、風力発電所、バイオマス発電所などである。投資対象に対する知見が不足している場合は、経験豊富なパートナーと組むことで質の高い実物資産に投資し、高い収益を上げることを可能にしている。2025年3月期末時点の運用資産残高は前期末比5.8%増の3,021億円である。また、投資案件は348件(約725MW)、このうち売電開始案件は346件(約669MW)、投資蓄電施設が2件(約100MW)であった。投資した案件が順調に収益を計上していることに加え、再生可能エネルギーへの投資が順調に進捗していることが窺える。自然災害の激甚化や世界的な気温上昇の抑制と脱炭素化の流れがあるなかで、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーに対する社会的ニーズは高い。2023年に開催された「第28回 気候変動枠組条約締約国会議(COP28)」では「再生可能エネルギーの発電容量について、2030年までに世界全体で3倍にする」という目標が掲げられ、日本においても、再生可能エネルギー推進に国を挙げて注力している。2012年に導入されたFIT制度(固定価格買い取り制度)によって、再生可能エネルギーの電源構成比は大幅に上昇したものの(2011年度の10.4%から2022年度には21.8%に拡大)、2040年度に4〜5割程度にするという目標(出典:資源エネルギー庁「第7次エネルギー基本計画の概要」より引用)を達成するためにはさらなる再生可能エネルギーの推進が必要とされる。こうした外部環境の追い風に加え、これまでに同社が蓄積してきた再生可能エネルギーに対する知見を生かし高収益の投資対象を発掘することで、投資家からの資金を順調に集めることができると弊社では見ている。

また、同社はスパークス・グリーンエナジー&テクノロジーを通じて、北海道苫小牧市において再生可能エネルギー由来のグリーン水素の製造・貯蔵・輸送・利用に至るサプライチェーン構築の実証事業を本格稼働させている。2023年に環境省の公募事業に採択され、2025年2月には水素製造設備の整備を完了し、同年3月以降、地元企業など複数の需要家への供給を順次開始している。同事業では、苫小牧市の廃棄物発電及び敷地内に新設した太陽光発電を組み合わせ、自営線経由で水電解装置へ電力を直接供給することにより、電力系統の制約を回避しつつ、年間最大100万立方メートルのグリーン水素を製造する。製造された水素は高圧水素トレーラーで市有施設や地元企業に輸送され、燃料電池や暖房機器などで活用される予定であり、寒冷地における灯油代替としての役割も期待される。これらを通じて構築される「苫小牧モデル」は、地域内エネルギー循環と経済波及効果の創出、水素の地産地消モデルとしての展開可能性を有しており、同社はこの実証事業を通してグリーン水素の投資対象としての可能性の検証に取り組んでいる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林拓馬)

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