*14:08JST POPER Research Memo(8):2025年10月期中間期の営業利益は前年同期比約5倍。顧客基盤を拡大(2)
■POPER<5134>の業績動向
2. 顧客基盤別の動向
(1) 学習塾領域
大手塾については、基幹システムのカスタマイズ開発を受注していた4社のうち2社の基幹システムが2025年4月より稼働し課金がスタートしたため、有料契約企業数は2社増加した。年間では、「BIT CAMPUS」の契約企業2社と前期第3四半期に基幹システムが稼働した1社を加えて5社増加した。残る2社もシステム開発は順調に進んでおり、2026年10月期以降に本格的な課金につながる見込みだ。基幹システム更新の開発コストを抑え、納期も短縮できるカスタマイズ開発により、大手学習塾での基幹システムへの「Comiru」導入を加速し、導入後の改修・保守業務も確保する戦略だ。顧客の実情にあわせたある程度のカスタマイズは必要となろうが、開発期間は短縮され同社のストック収益の積み上げスピードが増すことが期待される。
中堅・個人塾向けに開催している経営セミナーは、平均参加者200人以上と好調に推移した。Web広告なども適宜チューニングし、最適な状態を維持するようPDCAを回すことで、集客から商談化への転換率を継続的に向上させ、効率的な顧客獲得モデルを確立している。また、2025年1月にリリースした新サービス「ComiruPay」は、新規に「Comiru」を導入する学習塾などに対して、クロスセルにより取り扱いを増やしている。学習塾にとっては、口座振替の手続きの利便性や決済手数料の価格競争力(同社調べで業界最安値水準)、口座振替後の入金の速さ(振替後8営業日目)から「Comiru」の導入を誘引する大きな要因にもなっている。売上高は初期費用と口座支払手数料の差額分(同社が集金代行業者に支払う手数料との差額)が計上されるが、現時点では口座数も多くなく、今後の売上増加に期待したい。こうした動きにより中堅・個人塾も1年間で263社増加した。
(2) 習い事領域
英会話教室やプログラミングスクール、音楽教室などの習い事領域においては、活用事例の共有や業界特化型のセミナーの開催などにより1年間で115社純増した。
(3) 学校領域
公教育の学校領域では、2023年度に千葉県八千代市内中学校を対象とした休日部活動の地域移行に向けたモデル事業において「Comiru」が採用された。その実績が評価され、2024年度には八千代市内中学校11校の部活動において「Comiru」が採用されるとともに、習志野市でも導入が決まった。2025年10月期には大阪市教育委員会においても一部の地域数校での導入が決まった。また、2024年度より千葉県教育委員会が実施する「業務改善DXアドバイザー配置事業に関する業務委託」プロジェクトにおいて、受託者である(株)マイナビの専門アドバイザーとして、各市町村及び対象校の校務DX化を支援している。2025年6月には千葉県印旛郡栄町と協定を締結し、総務省が推進する地域活性化起業人制度を活用した「NEXT GIGA事業推進支援員」として同社社員が委嘱され、公教育環境のDX化を支援していくこととなった。
3. 財務状況と経営指標
2025年10月期中間期末の資産合計は前期末比146百万円増加し1,217百万円となった。現金及び預金が72百万円増加、売上高増加に伴い売掛金が12百万円増加したほか、繰延税金資産の計上により投資その他の資産が42百万円増加した。負債合計は同1百万円増加し348百万円となった。増益に伴い未払法人税などが14百万円増加した一方、長期借入金が17百万円減少した。純資産は同144百万円増加し868百万円となった。新株予約権の行使に伴い資本金と資本準備金がそれぞれ3百万円増加、繰越利益剰余金が136百万円増加し、内部留保はさらに厚くなった。自己資本比率は純資産の増加額が大きく71.1%と同3.6ポイント上昇した。
2025年10月期中間期の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前中間純利益が117百万円となったため前年同期比101百万円増の95百万円の入金となった。投資活動によるキャッシュ・フローは、ソフトウェア開発に伴う無形固定資産の取得により同10百万円増の12百万円の支出となった。その結果、フリー・キャッシュ・フローは83百万円の収入に転じ、これと新株予約権行使による株式発行に伴う収入6百万円を長期借入金の返済17百万円に充当し、現金及び現金同等物は前期末比72百万円の増加となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
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