株の需給はどのように見ればよいか?
株価を決める要因の一つに需給がある。「信用倍率」を確認することで、需給を分析し、その先の株価の動向を捉えることができる。では、どのように読み解けばよいか。個人投資家・投資系YouTuberの森口亮さんによる、シリーズ「まるわかり市況分析」。森口さんが需給分析について解説する。
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突然の日米関税交渉合意により、日本株が急騰しました。当初25%とされていた相互関税と自動車の分野別関税が15%で合意されたと伝わり、大幅高を演じました。このように急な値動きが起きた際、一つの手がかりとして「信用倍率」による需給分析が有効です。
信用倍率は何を意味するのか?
信用倍率とは、信用取引における信用買残と信用売残の比率で、次のように計算されます。
「信用倍率=信用買残÷信用売残」
ここでの信用買残や信用売残とは、信用取引において新規注文後、まだ決済されていないポジションのことです。信用買残は将来の売り圧力、信用売残は将来の買い圧力(信用売の決済は買い戻しのため)と捉えることができます。
したがって、信用倍率が高い場合は買いポジションが多い=将来の売り圧力が強い=「需給が重い」と解釈できます。
一方、信用倍率が低ければ売りポジションが多い=将来の買い戻しが控えている=「需給が軽い」と見なせるのです。
信用倍率は、東京証券取引所が毎週第2営業日の夕方に直近1週間分を発表しています。そのため、若干古いデータにはなりますが、証券会社のサービスなどを使えば、日々の信用残の推移を把握できる場合もあります。