地方銀行が苦戦を強いられている(イメージ)
「金利のある世界」で業績を拡大するメガバンク、台頭するネット銀行と対照的に、苦戦を強いられているのが地域密着型の地方銀行だ。業績の悪化を背景に、経営戦略の大幅な転換を図る地銀が目立ってきた。
不良債権比率が2%以上は要注意
3メガバンクグループの今期(2026年3月期)連結純利益が4兆円を超え3期連続で過去最高を更新する見込みがあるなか、地域経済に根差す地方銀行(地銀)の苦戦が続いている。
経営悪化による合併・統合が相次いでおり、1月には愛知銀行と中京銀行が合併して「あいち銀行」が発足。青森県でも青森銀行とみちのく銀行が合併して「青森みちのく銀行」が発足した。2026年1月には長野県の八十二銀行と長野銀行が、同年5月には福井県の福井銀行と福邦銀行の合併が発表されており、業界再編がここにきて加速している。
全国銀行協会の調査(2024年)によれば、地銀に口座を持つ人の割合は55%。地銀の趨勢は多くの人にとって無視できない。そこで本誌・週刊ポストは全国に97ある地銀の決算資料(2025年3月期)をもとに「不良債権比率」ランキングを作成し、「不安な地銀」と「安全な地銀」を可視化した。
銀行などの金融機関は貸出先について正常先、要注意先、要管理先、破綻懸念先、実質破綻先、破綻先に区分して融資業務を行なっている。要管理先以下に相当する債権残高については「不良債権」として公表しており、貸出金や債務保証などの合計額(資産)に占める割合が「不良債権比率」となる。経済ジャーナリストの森岡英樹氏が言う。
「不良債権比率は銀行の経営状態を示す重要な指標の一つで、一般的にその比率の高さは経営の先行きに不安があることを意味します。経営状態は自己資本比率や収益力にも左右されますが、不良債権比率が2%以上の銀行は要注意だと言えます」
ランキングでは全97行を不良債権比率が高い順に並べたうえで、各行の“体力”を示す「総資産」、一般企業の営業利益にあたる「コア業務純益」を併記した。