今週のドル円はどう動く?
投資情報会社・フィスコが8月11日~8月15日のドル円相場の見通しを解説する。
* * *
今週のドル円は下げ渋りか。米インフレ指標の伸びは鮮明だが、米連邦準備制度理事会(FRB)への利下げ圧力は残されている。ただ、日本の財政悪化懸念で円売りも見込まれる。今週発表された米国の消費者物価指数(CPI)はコア指数が想定より強く、生産者物価指数(PPI)は伸びが加速。今年に入ってからのインフレ圧力は鮮明に。にもかかわらず、FRBの今後の利下げ圧力は強まる一方だ。
FRBは先月開催の連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利据え置きを決定するとともに、9月以降の利下げに慎重姿勢を堅持。その直後の予想外に悪化した米雇用関連統計を受け、景気に不透明感が深まりつつあることが背景にある。8月20日に公表されるFOMC議事要旨では、9月利下げに関する議論が焦点となる。FRB人事でハト派寄りの当局者が指名され、執拗な政治圧力に今後緩和的な政策に転じるとの見方が広がればドル売り要因になりやすい。
そうしたなかで今週末にかけて行われるジャクソンホール会合では、トランプ政権が解任の意向を示しているパウエルFRB議長の政策スタンスに注目が集まる。利下げに慎重な姿勢を弱めれば、ドル売り優勢とみられる。一方、先の参院選での大敗を受け、自民党内では総裁選前倒しの議論が出始めた。石破首相は続投に意欲を示しているものの、総裁選の可能性が高まれば日本の財政悪化懸念が再び強まり、投機的なドル買い・円売りが強まるケースもあり得る。
【FOMC議事要旨】(20日公表予定)
FRBは8月20日、7月開催のFOMC開催分の議事要旨を公表する。9月の利下げに関する意見が注目され、ハト派的なトーンが弱い内容ならドル買い要因。
【ジャクソンホール会合】(21-23日開催予定)
米カンザスシティ連銀がワイオミング州ジャクソンホールで毎年開催する年次総会。米トランプ政権から利下げ要求に応じないと批判されパウエルFRB議長の発言内容に注目。