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【注目トピックス 日本株】rakumo Research Memo(6):パソナと協業しHRテックサービスを開始、M&Aは2件完了

*13:06JST rakumo Research Memo(6):パソナと協業しHRテックサービスを開始、M&Aは2件完了
■中長期の成長戦略

rakumo<4060>は2025年2月に、2025年12月期から2027年12月期までの中期経営計画を公表した。中期経営計画では、グループウェア・コラボレーションツールでの「働き方改革支援」から一歩進め、生成AIなどのテクノロジーを用いて、企業の各組織が抱える課題を解決する「組織改革支援」への進出を目指している。

2027年12月期の目標数値は、ARRは2024年12月期比179%増の30億円、調整後EBITAは同129.3%増の10億円、営業利益は同82.5%増の7億円、配当性向は30%を掲げている。また、3年間のM&A投資枠として30億円を計画している。

重点取り組みは、既存サービス「rakumo」のグロース、新領域でのプロダクト展開、M&Aの加速の3点である。既存サービスのグロースにおいては、新規顧客の獲得に向けた代理店販売プロセスの改善や直販体制の強化を進めるとともに、販売パートナーと協働したプロダクト拡充により、クロスセルを促進する方針である。また、生成AIの調査・開発を進め、AIを活用した新機能を追加していくことにより、プロダクト価値を継続的に高めていく。「rakumo」シリーズの競争力を強化し、安定的な成長を確保する戦略である。

次に新領域でのプロダクト展開では、2025年5月にパソナと提携し、HRテック領域で人材管理・採用支援ソリューション「aloop(アループ)」の提供を開始した。同サービスはアルムナイや内定辞退者、社員の友人・知人など、企業と接点がある人材の情報を一元管理し、多様な人材活用を実現する仕組みを備えている。従来の採用チャネルだけでは人材確保が困難な時代において、即戦力となり得る周辺人材の活用は注目を集めており、「aloop」はその需要を捉えたソリューションと言える。加えて、パソナのコンサルタントが伴走し採用業務を代行することにより、人事部門の負担軽減も可能にする。課金体系は成果報酬型であり、企業は初期投資を抑えながら柔軟に利用できる点も特長である。同社は今後もパソナとの連携を深化させ、HRテック領域での展開を広げ、日本企業の持続的な人材戦略を支援していく考えである。

M&A戦略については、代表取締役社長の清水氏が旗振り役となってM&Aを進めている。2025年12月期は現時点で既に2件を実施しており、いずれも中期成長に直結する案件である。2025年7月にはCMSの提供を中心に事業展開するスタートレを買収した。スタートレは中小企業や個人事業主向けに「STARTRE CMS」を提供しており、累計3,100社超の導入実績を持つ。動画埋め込み、Instagram連携、ヒートマップ分析などの機能を備え、集客や求人領域で高い付加価値を提供している。強みは新規開拓営業の知見、CMS領域でのビジネスノウハウ、安定的な財務基盤、低解約率のサブスクリプションモデルなどである。同社にとっては、新規領域の獲得、顧客基盤の相互活用、ベトナム開発拠点によるスタートレスのプロダクト強化などのシナジーを見込んでいる。財務面でもARR約6億円、調整後EBITA約1.5億円の寄与が見込まれ、安定的な収益源として中長期的な成長が期待される。同年8月には、HR領域で人材紹介会社向けサービスを展開するエージェントシェアを子会社化した。エージェントシェアの主力サービス「AGENT SHARE」は、全国の人材エージェントが求人・求職者情報を共有して自動マッチングできる仕組みであり、リリースから3年で累計500社超と契約し、求人件数約48,000件を扱うネットワーク型サービスに成長した。安定したサブスクリプションモデルであることから収益基盤の強固さも特筆される。同社にとっては、HR領域での事業基盤強化と「aloop」との補完的な関係といった戦力的意義、さらにはクロスセルの余地も大きい。財務的にはARRで約1.5億円、調整後EBITAで約1.0億円の寄与が見込まれる。

このように、同社の成長戦略は既存サービスの進化、新領域であるHRテック領域の拡大、そして積極的なM&Aによる事業ポートフォリオの拡張という三位一体の施策により構成されている。特に注目すべきは、いずれの施策も単なる売上規模の拡大ではなく、継続収益モデルの強化に直結している点である。自社開発とM&Aを組み合わせながら、解約率の低いサブスクリプション型サービスを複数保有することにより、ARRの持続的成長と利益の安定化を同時に実現する戦略となっている。

また、生成AIを中心としたテクノロジー活用を軸に、プロダクトの高度化と付加価値向上を進めており、単なる業務効率化ツール提供から、企業経営や組織改革に資するソリューションベンダーへと進化する方向性を鮮明にしている。こうした戦略により、同社は国内SaaS市場における競争優位を強化しつつ、中長期的な成長基盤を確立していくものと期待される。

■株主還元策

2027年12月期までに配当性向30%以上に引き上げる計画

同社は順調な事業の成長状況を踏まえ、成長投資を実行しつつも利益還元の開始が可能と判断したことから、2024年12月期より株主還元策として配当を開始した。2024年12月期の1株当たり配当金は6.0円、配当総額は34百万円、配当性向は13.7%であった。2025年12月期の1株当たり配当金は9.0円、配当性向は20.2%となる見通しである。

また、中期経営計画では株主還元の強化を1つの柱としており、2027年12月期までに配当性向を30%以上に引き上げる計画である。株主還元の合計額は今後3年間で10億円を目指す方針で、成長投資と株主還元をバランスよく実行していくとしている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林 拓馬)

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