ウェディングフォトの撮影スポットにもなっている渋谷・スクランブル交差点(写真:イメージマート)
東京・渋谷のシンボル、スクランブル交差点。多数の人が2分ほどの間に行き交う光景は映画やドラマにもたびたび登場し、いまや世界的にも“東京の名所”として知られている。
外国人観光客にとっては、ただ渡るだけではなく「東京らしさを体験できる特別な場所」として人気を集めており、SNSでは「賑わいを自分の目で確かめに来た」「カオスだが美しい」「マリオカートに乗って渡ったら最高」などといったコメントとともに、さまざまなポーズの写真や動画が投稿されている。そうした東京観光の目玉で、新たな撮影スタイルとなっているのが「ウェディングフォト」だ。
青信号になると同時に交差点の真ん中へ走り出す
渋谷区に住み、毎日渋谷駅を利用する女性(30代女性)が、その現場を目撃した時の状況を語る。
「白く、大きく裾の広がったドレスを着た新婦とタキシード姿の新郎が手を繋いで、青信号になると同時に交差点の真ん中へ走り出ていきました。そして立ち止まると、その瞬間、カメラマンがすかさずシャッターをカシャカシャッと切っていて……。本当に一瞬の出来事でした。
もちろんカップルとカメラマンは赤信号になる前に撤収していましたが、周囲の人たちは思わず足を止めてしまいますよね。走ってこられるのは怖いし、写撮影の時も真に写り込じゃいけないと思うわけですから。おめでというという雰囲気になるかと思いきや、いかんせん信号があるのでそれどころじゃない。日本人も観光客も無言で避けて通っていました。私もお祝いしたい気持ちはありましたが、やっぱり危ないなと思いました」
同様の撮影を見たことがあるという別のカップルもこう振り返る。
「赤信号の時、交差点を背にする格好で、信号待ちの人たちの前で撮っているカップルがいました。交差点の中に入っているわけではないので危険というほどではありませんでしたが、人混みの中で道路ギリギリに立っていて、正直ちょっと邪魔だなとは思いましたね。自分が写らないように避けなくちゃいけないし」
実際、検索エンジンで「Shibuya Crossing Wedding」と入力すると、海外カップルが結婚式の衣装で渋谷を歩く姿が数多くヒットする。交差点の中央でポーズを撮るものもあり、交差点中央への移動、ポーズ、そして写真撮影という多くの工程を、限られた青信号の時間内で新郎新婦とカメラマンが息を合わせて撮影している様子を垣間見ることができる。
