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ビジネス
職業としてのヤクザ

【ヤクザはどうやって辞めるのか】自ら辞める場合に求められる「お金」、辞めさせられる場合は「絶縁」か「破門」でニュアンスの違いも【溝口敦氏×鈴木智彦氏対談】

破門状の発送

溝口:絶縁や破門をされると、一切ヤクザ交わりができなくなる。自分がそれまで所属していた組に限らず、あらゆる暴力団と関われなくなります。ヤクザというのは、中世ドイツのギルドみたいな同業者組合的要素がある。ギルドの親方が、こいつは駄目だよと言うと、永久に業界追放になる。それと同じことで、絶縁や破門で放り出したら、他の組は一切救いの手を差し伸べてはいけない、救済してはならないという、そういう取り決めがあるわけです。

 例えば破門されると、全国の暴力団事務所に「破門状」が発送されます。「当組の若者、○○は当組の趣旨に反し、不都合があった。よって幹部一同協議して破門とした。今後は一切当組とは関係ないので通知する。なお、貴殿におかれても、この者を客分とすることや、この者と縁組、交遊、商談することは固くお断わりする」といったことが書いてあり、この者を組員として拾うな、拾えば自分の組への敵対行為とみなすという意味です。

鈴木:ヤクザ社会そのものからの追放ですね。昔は確かに効力がありました。

溝口:絶縁状や破門状は、交際団体にもすべて配るというのが原則です。もっとも破門状の場合、警察への言い訳のために自分の組内に破門状をまいて、その人間が逮捕されても、「破門してますから、うちには関係ありません」と言い訳するケースもある。しかし、通常は絶縁や破門をされた場合は、カタギとして生きていくしかなくなる。

鈴木:何が大変かといえば、ヤクザは周囲を威圧して生きてきました。しかしカタギになった途端、そんな態度は取れない。

溝口:今はカタギの人間だって、再就職はなかなか難しい。カタギのスポンサー、地場産業の社長連中なんかに頼み込んで、再就職を斡旋してもらうというケース、それが難しければ半グレの手伝いをするとか。

「五年ルール」と言ってヤクザを辞めても五年間は銀行口座を開けず、住まいも借りられない。そのため就職もままならず、ろくでもない生活になる人が圧倒的に多いです。

【プロフィール】
溝口敦(みぞぐち・あつし)/1942年東京都生まれ。早稲田大学政経学部卒業。ノンフィクション作家。『食肉の帝王』で2004年に講談社ノンフィクション賞を受賞。主な著書に『暴力団』『山口組三国志 織田絆誠という男』など。

鈴木智彦(すずき・ともひこ)/1966年、北海道生まれ。日本大学藝術学部写真学科除籍。ヤクザ専門誌『実話時代』編集部に入社。『実話時代BULL』編集長を務めたのち、フリーに。著書に『サカナとヤクザ 暴力団の巨大資金源「密漁ビジネス」を追う』(小学館)などがある。
10月29日19時から、マネーポストWEBライブ動画配信『《貴重資料を蔵出し!》最大組織・山口組と「絶縁状」「破門状」の世界 ボディーガードの“心得”が記された書面も…』に登場予定。

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