4つの尺度で銘柄を選び、それぞれ色の違う付箋をつけるというsatoさんの『会社四季報』
日経平均株価は「高市トレード」で5万円を上回る水準での値動きが続いているが、こうした相場展開で個人投資家はどのように銘柄を探すのがいいのか。様々な状況を経験しながら株式投資で億超えの資産を築いた歴戦の“億り人”に、銘柄発掘法を聞いた。
今回話を聞いたのは、専業投資家のsatoさん(42)。現在、資産2.2億円でフルポジションを取っているという。保有銘柄数は18。その内訳は小売業24%、化学15%、情報・通信業9.3%、サービス業9.1%、輸送用機器9%、建設業4.9%、食料品4.2%、倉庫・運輸関連業3%、卸売業2.6%、水産・農林業2.2%、その他16.3%(株価ベース)と説明する。実に多岐にわたり、しかも、東証プライム市場に上場しているような大型株よりも東京スタンダード市場の小型株が中心だという。
「何が起きても大きな怪我をしないように、1つ2つが悪くなっても全体に影響しないように、意識的に業種を分散させたポートフォリオにしています」(以下「」内はsatoさん)
1日10時間、10日間かけて『会社四季報』を精読
では、satoさんは東証に上場している4000近い会社のなかからどのようにして現在保有する18銘柄を見つけたのだろうか。
「6年ほど前から続けていることなのですが、年4回、『会社四季報』が発売されると、そのたびに発売直後から1日10時間、10日ほどかけて集中的に精読します。バイオベンチャーなどのように、自分にはビジネスモデルが理解できない業種は外しますが、おそらく9割くらいの銘柄に目を通しているのではないでしょうか。
もともと中学から大学まで本格的に陸上競技に取り組んでいたこともあって、普段はトレーニングで自分を追い込んでいるのですが、この期間だけはトレーニングも休みます。自分の中では『修行期間』と呼んでいます(笑)。そして、現在保有する18銘柄も、過去5年ほどの間に保有していた銘柄も、すべて『会社四季報』を精読することで見つけたものばかりです」
satoさんは会社四季報を精読する時、注目する一部の銘柄を4つに振り分け、それぞれ色の違う付箋をつけておく。「赤」は「現在の保有銘柄」、「緑」は「著しく割安感があり、購入に値する銘柄」、「黄」は「とりあえずチェックしておき、何かあれば深掘りする銘柄」、「青」は「チャートが下がっている銘柄」だという。
「今年9月に発売された秋号を精読した結果は、『赤』が18銘柄、『緑』が41銘柄、『黄』が112銘柄、『青』が21銘柄でした。3か月前に発売された夏号を精読した時、『赤』はやはり18銘柄で、構成もあまり入れ替わっていません。最近の日本株急騰にも、僕が動いていない証拠です。また、夏号に比べて『緑』『黄』は若干減り、『青』は半減しています。それだけ市況がいいということですね。逆に市場が軟調になると付箋の数も少しずつ増えます。ただ、『黄』は常に一定数確保しておくようにしています」
