億り人の手堅いテクニックとは(写真・イメージマート)
株を持っているだけでもらえる株主優待や配当を目当てに投資する個人投資家は多い。特に優待には魅力的な品目も多く、その会社のオリジナル商品やご当地グルメなど、思わず欲しくなってしまう。一方で、この“需要”を逆手に取り、優待や配当を受け取らない投資手法がある。いったいどういうやり方なのか。その具体的な手法とともに、億り人・羽根英樹氏に解説してもらった。
羽根氏は、特有のイベントで発生する値動きの特徴を利用して利益をあげる「イベント投資」を得意とする億り人。数々の成功を収めてきた「先回り投資」について語る。
「株主優待をもらうには、配当同様、権利確定日(権利付き最終日)に株を保有していることが条件となっています。株主優待が欲しい人は権利確定日をまたいで保有し、優待をもらえる権利が確定するまで株を売りません。本当に優待が欲しい場合は高値でも買わざるを得なくなり、権利確定日に向けて需給が逼迫。株価が上昇するというパターンが見られます。
このような権利確定日に向けて株価が上昇するアノマリー(経験則)を利用して、値上がり益を狙うのが『優待先回り投資』です。過去のデータから、優待先回り投資は再現性が高いことがエビデンスとしてあります」
一気に買わずに分散して投資
では、先回り投資を実践する場合、狙いの銘柄をどんなタイミングで仕込んだらいいのか。
「過去の株主優待銘柄のデータを見ていくと、魅力的な優待のある銘柄はおおむね権利確定日の40営業日前(1か月半程度前)から株価が値上がりする傾向が見られます。したがって、40営業日前を目安に買っていけばいいと思います。
ただ、出来高(売買の成立した株数)の少ない銘柄もあるので、一気に買わず少しずつ分散して買うのがコツです。そして、先回り投資はインカムゲインではなくキャピタルゲイ(値上がり益)狙いなので、権利確定日前には必ず売って利益を確定し、優待はもらわないというのも大事なポイントです。権利確定日を過ぎる(権利落ちする)と、株価は急落することが多いからです」(羽根氏、以下同)
