名字が「あ行」の子供は授業で指されやすい?(イメージ)
五十音順に出席番号が割り当てられることが多い日本の学校では、出席番号が早い「あ行」の名字を持つ生徒の方が、積極性や創造性が養われやすい──そんな研究が話題になっている。出席番号が早いと、名簿で目につきやすいという理由から、授業で先生に当てられたり、クラス替え時などの自己紹介を誰よりも先にしなくてはならなかったりと、いろいろな経験を積む機会が多いからだという。
さらに小学校低学年では、勉強や運動の面において“4月生まれ”にアドバンテージがある、と指摘する声は多い。4月生まれは生まれてからの時間が長く、精神面でも体力面でも発育が進んでいるから有利だ、という理由だ。たしかに幼い頃なら、数か月の影響は大きいだろう。そうした幼少期の“アドバンテージ”が、その後の成長にもポジティブな影響をもたらすであろうことも十分に予想できる。
そうなると“あ行の名字で4月生まれ”が、もっとも有利なのか? また“あ行の名字で4月生まれ”だからこその苦労もあるのだろうか。“あ行の名字で4月生まれ”の人に、実体験を聞いた。
出席番号1番あるある
西南学院大経済学部の山村英司教授(行動経済学)による「あ行」で始まる名字に関する研究論文が今年6月、日本経済学会の会誌『The Japanese Economic Review』に掲載された。この研究では、ノーベル賞受賞者、首相、都道府県知事、最高裁判事、経団連幹部など、日本で“エリート”と呼ばれる人々の名前をリストアップ。結婚で名字が変わる可能性が低い男性にしぼって約2000人のエリートの名前を集め、分析している。
その結果、日本人全体における「あ行」で始まる名字の人は約22%だが、エリート集団での「あ行」で始まる名字の人の割合は、日本人全体に対する割合より少なくとも2%高いものだったという。論文では、「あ行」の名字がエリートと呼ばれる地位に就くために有利に働く理由として、学校で自主的に問題を解決しなければならない経験が多いこと、他の生徒に模範として発表したり問題に答えたりする機会が多いことを挙げている。そのような経験が、エリートとして必要なリーダーシップに繋がっているというのだ。
実際に「あ行の名字」で、「4月生まれ」の人はどのような学校生活を送っていたのか。取材を進めてもなかなか該当する人が見つからず苦労したが、一人見つかった。広告業界で、フリーランスとして働くAさん(40代男性)の名字は「あ行」で始まり、かつ4月生まれ。Aさんが実体験を明かす。
「小・中と、ずっと出席番号は1番。入学直後やクラス替えがあったときは、必ず最初に自己紹介をさせられ、本当にイヤでした。クラスの雰囲気も掴めない中で、どんなテンションで自己紹介すればいいかわからないし、ウケを狙って外そうものなら目も当てられない。 ただ、“誰かのマネをできない”という状況に慣れるせいで、“イヤなことでもやらなきゃならないときはやる”ための度胸はついたと思います。“腹をくくる力”という感じでしょうか。そうはいっても出席番号1番というだけで、学年の初めには先生から『とりあえずAが学級委員をやって』と言われることもよくあり、子供心に理不尽さは感じましたが……」(Aさん、以下「」内同)
