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医心伝身プラス 名医からのアドバイス

多くの人々を悩ませる「片頭痛」治療薬の最前線 セロトニン受容体に作用する「トリプタン系薬剤」使用時の注意点 予防薬にも新たなトレンド【専門医が解説】

近年はCGRP受容体をブロックする薬が開発され、大きな注目を集めている

近年はCGRP受容体をブロックする薬が開発され、大きな注目を集めている

片頭痛患者の約3割は高齢になると発作がなくなる

 頭痛発作が多い方には、痛くても痛くなくてもあらかじめ毎日服用したり、定期的に注射する「予防薬」を使用します。古典的な予防薬としては、カルシウム拮抗薬、β(ベータ)遮断薬、抗てんかん薬などがありますが、近年、片頭痛研究で大きなブレイクスルーとなったのが、痛みに深く関わる物質であるCGRPに注目した治療薬の開発です。CGRPの働きを制限し、片頭痛を予防することを目的に、CGRPの受容体をブロックする薬が開発されました。初期に開発された薬剤は肝臓障害を起こすという課題がありましたが、その後、肝障害を起こさない化合物が開発され、製薬に至っています。現在では、CGRPそのものの働きを抑制する注射薬や、CGRP受容体の働きを抑制する注射薬といった最新の治療薬が登場し、片頭痛の予防に大きな効果を発揮しています。

 片頭痛は、年齢とともに変化する側面もあります。約3割の方は高齢になると発作がなくなるといわれ、約4割は激しい頭痛の頻度が減少すると言われています。その一方で、激しい頭痛は減るものの、「何となく痛い」「頭が重い」といった慢性片頭痛に移行する患者さんもいます。片頭痛はその字の通り、頭の片方が痛いことが多いのですが、年齢が上がるにつれて頭全体が締め付けられるような痛みに移行する方もいます。このような変化を感じた際にも、自己判断で鎮痛剤を増やさず、専門医に相談することが大切です。

「自己判断で鎮痛剤を増やさず、専門医に相談することが大切です」と語る竹島医師

「自己判断で鎮痛剤を増やさず、専門医に相談することが大切です」と語る竹島医師

■前編記事:経済的損失は2880億円と推計、日本人の“約3人に1人”を悩ませる頭痛のメカニズム 生活に大きな支障をきたすのに治療を受けていない人が多い理由【専門医が解説】

【プロフィール】
竹島多賀夫(たけしま・たかお)/富永病院院長兼脳神経内科部長兼頭痛センター長。1984年鳥取大学医学部卒業後、同大学大学院博士課程修了、鳥取大学医学部附属病院脳神経内科助手などを経て、米国国立衛生研究所(NIH)へ留学。帰国後、鳥取大学医学部附属脳幹性疾患研究施設脳神経内科部門講師・准教授を歴任。2010年富永病院脳神経内科部長、頭痛センター長に就任、2011年同病院副院長を経て、2025年より富永病院院長に就任。

取材・文/岩城レイ子

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