ヒカル本人の来店イベントに2000人
基本的に取材だけを行う企画ではあるが、12月7日にはヒカル本人が東京のホール「BIGディッパー新橋1号店」に来店した。
「ヒカルさんの来店当日は、開店時に入店順を決める抽選に2000人以上が参加したといい、かなりの盛況だったようです。2000人を集めるのは、パチンコ・パチスロ系の人気YouTuberの来店イベントでもトップクラス。ヒカルさん自身はパチンコ・パチスロの専門家ではないことを考えると、相当の注目度だったと言えるでしょう。
また、『ヒカルの一致団結』について、ヒカルさんは名前を貸しているだけなのではないか、という声もあったなか、実際にヒカルさんが来店イベントを開いたことで“この企画の本気度が伝わった”と見ることもできる。パチンコ・パチスロユーザーが今後も注目するイベントになっていきそうです」
ヒカルという、パチンコ・パチスロ業界外の有名人の参入は、はたしてどれくらいの新規ユーザー開拓の効果が見込めるのだろうか。
「業界内で期待されているのは事実ですが、すぐに効果があるかどうかというと未知数です。というのも、イベントの形式はこれまであった“取材イベント”と大差なく、新規ユーザーが直感的に理解できるものではない。つまり、初心者が『ヒカルの一致団結』の告知を見て興味を持っても、実際にホールに足を運ぶハードルは高いんです。初心者向けに遊び方や台の選び方の説明があるなど“入り口”としての機能があれば、新規ユーザー開拓に繋がっていくのではないかと思います」
既存ユーザーこそを重視したいホールのジレンマ
パチンコ・パチスロ業界の存続に新規ユーザーの開拓は必要なことだが、ホールとしては既存のユーザーを重視したいジレンマもあるという。
「初心者向けの機種となると、射幸性が低い機種や出玉システムがシンプルな機種になると思いますが、そういった機種は既存のユーザーからあまり支持されない。ホールとしては、初心者向けの機種を増やしても既存ユーザーが打ってくれないので、あまり利益にはならないという現実があるわけです。また、新規ユーザー開拓を視野に入れたイベントを開催しても、訪れる客の多くは既存ユーザーです。そのなかで新規ユーザー開拓を実現するのは、本当に難しいんです」
結局、初心者向けのイベントが増えたとしても、ホール側の“初心者受け入れ態勢”が万全ではない現状があるのだ。
「たとえば“初心者向け専門店”があれば、新規ユーザー開拓のハードルは下がる。よほど経営の体力がある大手チェーン店でないと難しいとは思いますが、そういった、明確で積極的な新規ユーザー開拓の施策も必要になってくるのではないでしょうか」
一筋縄ではいかない、パチンコ・パチスロ業界の新規ユーザー開拓。この課題をクリアすべく、業界の試行錯誤は続きそうだ。
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