パチンコホールの広告宣伝は細部にわたってルールが決められている(イメージ)
パチンコホール関係4団体(全日遊連、日遊協、MIRAI、余暇進)が11月27日、広告宣伝ガイドラインに基づく是正勧告の対応を強化することを発表した。これまでは違反したホールの店舗担当者に通知文書を送る形で是正勧告をしていたが、12月1日以降はホールを運営する法人の経営代表者にも文書で通知する形になるという。業界全体で広告宣伝の健全化を図っても、なかなか撲滅できないルール違反。一体どんな違反があったのだろうか。【前後編の後編】
レインボー柄、アンコウ、店長就任日もNG対象
パチンコホールにおける広告宣伝ガイドラインは、全国統一のルールとして、第1版が2023年2月にパチンコホール関係4団体(全日遊連、日遊協、MIRAI、余暇進)が発出。その後、2024年3月に第2版、2025年5月に第3版が制定されている。パチンコ業界に詳しいジャーナリストの藤井夏樹氏が解説する。
「この広告宣伝ガイドラインでは、射幸性が高くなりすぎないように、パチンコホールでのイベントの内容は告知方法、店舗内外に掲示されるポスター、SNSの運用方法など、さまざまな形での広告宣伝について細かいルールを制定しています」(以下同)
業界をあげて広告宣伝の健全化に取り組んでいるものの、ルールを逸脱するホールがなくならない現状があるのも事実。ホール関連4団体は、広告宣伝是正勧告事例集としていくつかの実例を紹介している。どんな事例があるのか。
「現時点で第5集まで公表されています。特に多いのは“高設定示唆”や“記念日”に関するルール違反です」
パチスロには、出玉率を決める「設定」という機能がある。多くの機種では設定1から設定6の6段階となっており、数字が多いほど出玉率が高くなる。
「ストレートに特定機種に対して“高設定が入っている”“設定6を投入”などと宣伝するのは完全アウト。また、特定の機種を思わせる文言やイラストとともに“頂上”などという高設定を示唆する表現を合わせて使うのもNGです。“レインボー柄”や“炎柄”など、パチンコやパチスロの演出で使われる“熱い表現”も、高設定を想起させる表現となっています。
さらに、隠語的に使われる表現もアウトです。たとえば、パチンコの人気シリーズ『海物語』では、“6はアンコウ”“5はエビ”などと、変動する数字に海の生物の図柄がついているのですが、このアンコウやエビを“設定6”や“設定5”を意味するものとして使用するのも禁止対象となっています。そこから転じて、ミネラルウォーターの『エビアン』も“設定5・6”を意味するものと認識されています。たとえばエビアンを景品として入荷したことを告知するポスターに、特定機種のイラストなどが併記されていた場合、その機種に高設定が入っていることが示唆されていると見なされ、是正勧告の対象となります」
“記念日”としては、ホールが開店した日を「オープン記念日」などと表現してイベントを開催するのは問題ないが、“店長就任日”“店長誕生日”などをイベントとして告知するのは禁止されている。
「以前は“店長来店”をイベント化するホールもありましたが、そういったものもアウト。また、法人のマスコットキャラクターなどの来店をイベントとして告知するのも禁止です。そして、機種に登場するアニメのキャラクターの誕生日などを特別なイベントとすることもNGです」
