信頼を失う「言葉のリスク」とは
では、私たちが具体的に避けるべき「言葉のリスク」とは何でしょうか。大きく分けて三つのカテゴリーがあります。
【1】相手を傷つける、不快にさせる言葉
これは最も基本的なリスクです。相手の容姿や能力、プライベートな事柄について、ネガティブな評価を下すような発言は論外です。
しかし、難しいのは、ポジティブな意図で言った言葉でさえ、相手を傷つける可能性があることです。
例えば、仕事で悩んでいる後輩に対して、「落ち込んでるの? もっと元気出せよ! 周りの皆も頑張ってるじゃん」と言ったとします。これは励ましのつもりかもしれませんが、後輩は「悩んでいる自分は、もっと頑張ってないといけないんだ」と感じてしまうかもしれません。
説明がうまい先輩は、こう声をかけます。
「何かあった? 浮かない顔してるけど。君が話しやすいタイミングでいいから、いつでも聞くよ」
相手の「状態」を軽視せず、相手の心情を推し量る。この姿勢が、無用なリスクを回避します。
【2】踏み込んではいけない「聖域」
会話には、不用意に足を踏み入れるべきではない「聖域」が存在します。代表的なものが、政治、宗教、そして人権に関する話題です。これらは、個人のアイデンティティや信念と深く結びついています。安易な発言は、自分にそのつもりがなくても、相手の根幹を否定することになりかねません。
「○○党の支持者なんて信じられない」「○○教を信じている人はちょっと……」といった発言はもちろんのこと、ジェンダーや国籍、出身地などに関する固定観念やステレオタイプな発言も、人権侵害につながる重大なリスクです。
さらに安易な発言は、社会心理学でいう「ステレオタイプ脅威」を引き起こしかねません。これは、特定の集団へのネガティブな固定観念を意識させられると、その人のパフォーマンスが低下するという現象です。不用意な言葉が、相手の可能性を奪うことさえあるのです。