慢性腰痛などの「原因不明の痛み」もパーキンソン病の重要サインのひとつ(イメージ)
中高年でも発症リスクがあるパーキンソン病だが、初期に原因不明の痛みがあることを知る人は少ないかもしれない。病症が進行すれば、痛みを伴う割合はさらに増えてくるという。シリーズ「医心伝身プラス 名医からのアドバイス」、パーキンソン病の発症原因の特定と根本治療のために、40年以上認知症などの神経変性疾患の研究をしてきたBRIファーマ(株)代表取締役・福永浩司氏(東北大学名誉教授)が解説する。【パーキンソン病と痛みの関係・前編】
パーキンソン病の痛みには脳が関係している
パーキンソン病は、神経伝達物質ドーパミンを分泌するドーパミン神経細胞が減少し、脳からの情報が全身の筋肉に伝わりにくくなることで、動作緩慢、うつ、睡眠障害などが起こる指定難病です。初期症状として「歩き始めの一歩が出にくい」といった運動障害が知られていますが、実は「原因不明の痛み」も重要なサインのひとつです。患者の3割から8割がこの痛みを経験し、進行に伴ってその割合は高まります。なかでも最も多いのが慢性腰痛ですが、前傾姿勢による腰痛であることも考えられ、そのメカニズムや原因は完全には解明されていません。
ドーパミンを補充する薬物療法で改善する場合がある一方で、治療の過程で薬の効果が短くなり、薬が効いている時間(オン)と効いていない時間(オフ)が交互に現われる「ウェアリングオフ現象」が起こると、薬効が切れる「オフ」の時間帯に痛みが悪化することがよくあります。これは、ドーパミン不足によって脳が痛みを感じやすくなっている可能性や、幸福感に関わるセロトニンの不足も関係していると考えられています。
現在、パーキンソン病には薬物療法や脳深部刺激療法などの治療法がありますが、これらはあくまでも症状を緩和する対症療法に留まっています。私は40年以上にわたる神経変性疾患の研究を通じて、この病気の根本原因を追究してきました。その結果行き着いたのが、「パーキンソン病は腸の炎症から始まる」という仮説です。
