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医心伝身プラス 名医からのアドバイス

長年にわたる慢性疼痛には「心理社会的因子」が深く関係 「ケアが少なく、過干渉が多い」環境で育つと有症率が増大するとの研究結果も【専門医が解説】

「心の我慢」が「身体の痛み」に変わる理由

「ケアが少なく、干渉が多い」養育環境で育つと、自分に自信を持てず、他者を素直に受け入れにくい心理状態に陥りやすくなります。それだけでなく、自分の気持ちを言葉に出さないことが癖になり、感情をうまく発散したり適切に自己主張したりすることができなくなってしまいます。その結果、周囲に対して過剰に我慢を重ね、自分に負荷がかかる不利な環境を自ら選んでしまい、心身の負担がどんどん大きくなっていきます。

 このような性質を抱えたまま大人になると、人間関係でのトラブルや社会的なストレスを一人で抱え込みやすくなり、これが慢性的な痛みを悪化させる決定的な要因(増悪因子)となります。心の奥底にある嫌な気持ちを紛らわそうとして、何かひとつの物事を強迫的にやり続けてしまう「過活動」の状態が増え、最近ではスマホやタブレットを長時間手放せなくなるといった依存的な行為も目立ちます。こうなると脳には疲労が蓄積し不眠となり回復が遅れ、同時に同じ姿勢を長時間続けることで身体の硬直も生まれてしまいます。

 慢性的なストレス状態が続くと、身体を興奮させる交感神経の活動が過剰に高まって全身の筋肉が緊張し、逆に身体をリラックスさせる副交感神経がうまく機能しなくなります。この自律神経のバランスの乱れが、血流やリンパ流などの末梢循環を悪化させ、行き場を失った老廃物が末梢組織に蓄積することで、最終的に「痛み」という信号として身体に現われやすくなるのです。

■後編記事につづく:レディ・ガガも罹患した「線維筋痛症」は患者の8割が女性で40~50代に多い 継続的な強いストレスが脳活動に影響し慢性疼痛を引き起こす 治療には「マインドフルネス」が有効【専門医が解説】

「脳や身体の過活動の持続が『痛み体験』に悪影響を及ぼす」と語る細井特任准教授

「脳や身体の過活動の持続が『痛み体験』に悪影響を及ぼす」と語る細井特任准教授

【プロフィール】
細井昌子(ほそい・まさこ)/医師・医学博士・公認心理師。九州大学病院心療内科特任准教授。マインドボディセンター福岡(MBC福岡)代表。1987年九州大学医学部卒業後、米国国立衛生研究所(NIH)留学や九州大学心療内科スタッフとしての臨床・研究活動を経て、2018年に九州大学病院集学的痛みセンター副センター長、2025年に同大学病院心療内科特任准教授に就任。長年、慢性疼痛の心身医学的研究に従事し、痛みと愛着・情動の関係や、ミクログリア異常活性化の検証など多角的なアプローチを推進。現在は厚労省慢性疼痛対策事業の九州代表者を務めるなど、集学的痛みセンターのシステム構築に尽力。医師・心理師両面の知見を活かし、難治例のバイオマーカー検索や心身医学的観点からの予防活動を通じて、痛みに悩む患者の支援に取り組んでいる。

取材・文/岩城レイ子

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