*11:41JST 富士製薬 Research Memo(1):2026年9月期は業績・配当ともに上方修正
■要約
富士製薬工業<4554>は、医療用医薬品の開発・製造・販売を主事業とする日本の医薬品メーカーである。1965年4月に株式会社として設立され、海外拠点を含めたグループ体制で運営している。同社は設立以来、女性医療領域に特化してきた歴史を有する。当初は後発医薬品(ジェネリック)の提供により業容を拡大してきたが、近年はホルモン剤を中心に不妊治療剤、経口避妊薬、更年期障害治療薬など「女性医療」向け医薬品を主力に、新薬での成長を軸としたスペシャリティファーマとしての地位を確立している。現在は東京証券取引所プライム市場に上場している。
1. 2026年9月期中間期業績概要
2026年9月期中間期は、女性医療事業とバイオシミラー事業の成長を背景に、売上高は29,716百万円(前年同期比23.3%増)、営業利益は4,398百万円(同90.8%増)、経常利益は4,263百万円(同92.9%増)、親会社株主に帰属する中間純利益は713百万円(同44.6%減)と、大幅な増収増益を達成した。高粗利製品の販売拡大による売上総利益率の改善に加え、一部販管費の計上時期が下期へずれ込んだことも利益成長に寄与した。一方、親会社株主に帰属する中間純利益は713百万円(同44.6%減)と減益となった。これはバイオシミラー事業のパートナーであるアイスランドに拠点を持つAlvotech hf.の株式評価損を計上したことによるものである。事業別では、女性医療事業が売上高13,152百万円(同28.0%増)となり全社成長をけん引した。更年期障害治療薬「エフメノ(R)カプセル」(以下、「エフメノカプセル」)や月経困難症治療薬「アリッサ(R)配合錠」(以下、「アリッサ配合錠」)が大幅に伸長した。「アリッサ配合錠」は処方制限解除後に採用が拡大し、新患処方シェアも上昇した。バイオシミラー事業は売上高1,854百万円(同102.6%増)と倍増し、「ウステキヌマブBS」や新製品「アフリベルセプトBS」が成長をけん引した。グローバルCMO事業も売上高4,768百万円(同16.2%増)と堅調に推移しており、国内受託の拡大に加え、タイ子会社OLIC (Thailand) Limited(以下、OLIC)を中心とした海外受託も安定成長を続けた。
2. 2026年9月期業績見通し
2026年9月期の業績予想は、売上高59,250百万円(前期比14.7%増)、営業利益6,120百万円(同22.6%増)、経常利益5,880百万円(同31.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,240百万円(同25.3%減)を見込んでいる。同社は第1四半期決算発表時に業績予想を上方修正している。一方、親会社株主に帰属する当期純利益が減益となっているのは、Alvotechの株式評価損計上による一過性要因である。事業別では、女性医療が主力の「エフメノカプセル」と「アリッサ配合錠」が引き続き成長けん引を見込み通期売上高予想を26,280百万円(同17.5%増)へ、バイオシミラー事業も「ウステキヌマブBS」に加え「アフリベルセプトBS」の寄与や新製品投入が成長を支える見通しで4,480百万円(同127.1%増)へ上方修正された。グローバルCMOは8,500百万円を見込み、同社の富山工場とタイ子会社OLICでの受託製造事業も着実な成長を見込んでいる。女性医療、バイオシミラー、グローバルCMOの3事業がいずれも伸長し、中期経営計画の進捗は順調と評価できる。
3. 中長期成長戦略
同社は中期経営計画(2025〜2029)において、2029年9月期には売上高800億円、営業利益100億円、ROE10%の達成を目指している。「女性医療」「バイオシミラー」「グローバルCMO」を成長戦略の柱として計画の達成を見込んでおり、2026年9月期の上期までは順調に進捗している。
株主還元では、税引後営業利益ベースの配当性向30%を目安とする累進配当方針を採用している。1株当たり配当金は2020年9月期の29.0円から2025年9月期の45.5円へ増加しており、2026年9月期も年間配当を期初予想の47.0円から49.0円へ増額した。業績上振れを受けて迅速に増配を決定したことからも、成長投資を継続しながら利益成長の成果をタイムリーに株主へ還元する姿勢がうかがえる。
■Key Points
・2026年9月期中間期は売上高・営業利益ともに大幅増を達成
・2026年9月期業績を第1四半期に上方修正。営業・経常利益は2ケタ増益を予想
・CAGR12%を想定し、2029年9月期に売上高800億円を目指す
・中間配当予想を上方修正し、好調な業績をタイムリーに還元
(執筆:フィスコ客員アナリスト 中西 哲)
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