麻布中学の志願者数変化の背景には何があるか(イメージ)
男子御三家の一角・麻布中学の志願者数が減少していることが、中学受験関係者の中で話題となっている。難関校の志願者が減っている背景に何があるのか。『大学受験 活動実績はゼロでいい 推薦入試の合格法』が話題のノンフィクションライター・杉浦由美子氏がレポートする。【前後編の後編。前編から読む】
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中学受験生の数が横ばいの中で志願者を減らした麻布
2026年の中学入試では、男子御三家の一角、麻布が志願者を減らしたことが話題になった。“難関校離れ”がいわれて久しいが、今年の入試では男子御三家の開成や武蔵は志願者をやや増やし、麻布は志願者を減らしている。2020年には麻布の志願者数は1000人を超えていたが、2026年は750人まで減っている。
一方で、多くの生徒が本命校を受験する2月1日の午前中の入試の受験者数の1位は開成の1275人で、麻布は4位。720人もの受験生が「憧れの麻布」の入試に挑戦したことが分かる。「『麻布は難しすぎるから他を受けろ』と言い続けた。でも息子が『3年間頑張ってきたのだから、麻布を受けたい』と言うと止められなかった」とため息をつく母親もしばしば見かける。
それでも、中学受験生の数が横ばいの中で、なぜ、麻布は志願者を減らしているのか。
「中学受験のメリット」に気づいた学力中堅層
御三家の快活で自由な校風を強く望む層が消えたわけではない。だからこそ、麻布も開成も十分な数の志願者を集め続けているのだ。今も御三家の求心力は健在だ。
しかし、御三家だけではなく、難関校離れがこの数年で指摘されているのは、中学受験の主流が中堅層にシフトしているからだ。
ある大手塾の幹部がいう。
「かつての中学受験は東大や医学部を目指す子のものでした。しかし、今はそうじゃなくなっている」
東大や医学部を目指すなら、中高一貫校に通った方が有利である。そのため、中学受験をしたのだ。全小学生のうち、上位20%が中学受験をするといわれていた。
ところが今はそれが変化している。
「増えているのは中堅層です。特に勉強が苦手な子も多く入塾するようになってきました。うちの入塾テストは9割が合格するように作成していますが、なかなか受からないお子さんも増えてきました」と大手塾関係者は話している。
小中学生の学力低下が大きく報じられた。公立の小学校で学力がつきにくくなっている。危機感を持つ保護者が塾に子どもを入れ、「どうせ塾に通わせるなら中学受験をさせよう」となっていくのだ。
共働き家庭からしたら、面倒見のいい中堅校に子どもを入れて、基礎学力を伸ばしてもらおうと考える。高校以降、評定平均値さえ上げていけば、指定校推薦や総合型選抜で大学に進学できる。
「特に男子は高校受験での選択肢も多いです。学力が高ければ国立や早慶付属、開成、巣鴨といった難関校の門戸が開けています。一方、学力中堅層で内申点がとれそうもないと高校入試で苦戦するため、中学受験をさせようというケースも増えています」
中堅層が「中学受験のメリット」に気づいて、参戦してきているのである。
