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FiscoNews

【注目トピックス 日本株】IACEトラベル Research Memo(6):さらなるサービス強化でシェア拡大と市場拡大を実現する

*11:06JST IACEトラベル Research Memo(6):さらなるサービス強化でシェア拡大と市場拡大を実現する
■中長期の成長戦略

1. 中長期成長戦略の枠組み
IACEトラベル<343A>の中長期成長戦略「Vision2030」は、「業務効率化」「既存事業成長」「新規事業開発」という3つの戦略軸を有機的に組み合わせ、持続的な成長を加速させる構想である。これらは順列的に進むものではなく、業務効率化をベースとして品質と生産性を高め、その成果としてシェアを拡大し、最終的に市場領域を広げるという“循環型の成長モデル”を描いている点に特徴がある。

(1) 業務効率化
業務効率化では、業務プロセスの標準化と自動化を中心に、生産性の最大化を目指す。AIを活用した自動化比率を現行の30%から2030年には60%へと倍増させ、従業員1人当たりの売上総利益を約1.5倍に引き上げる。効率化は単なるコスト削減にとどまらず、手配精度や顧客対応の品質向上を同時に実現する取り組みと位置付けている。オペレーションの合理化と組織対応力の強化によって、より高度で信頼性の高いサービス提供体制を確立する。

(2) 既存事業成長
既存事業成長では、BTM市場の中堅・中小企業への浸透と、大手企業(エンタープライズ領域)での取引拡大を並行して推進する。中堅・中小企業への浸透においては、広告・マーケティング投資を強化し、営業人員を現在の18名から2030年までに55名へ増強する。エンタープライズ領域においては、専任営業体制を構築し、取引比率を現行の10%から16%に引き上げる目標を掲げている。これにより、裾野の広い顧客基盤と大型案件の安定収益を両立させる構造を整備する。

(3) 新規事業開発
新規事業開発では、同社のサービス領域そのものを広げる。レンタカー予約や出張パッケージ機能など新たな取扱商品の開発を進め、出張に関する一連のサービスを自社プラットフォーム上で完結させる構想である。さらに、海外展開では、取引先企業の現地法人における出張需要を取り込むため、カナダ・メキシコの子会社と連携し、第3国間の出張や海外発着案件にも対応していく。加えて、業務提携やM&Aを通じて、自社サービスと親和性の高い企業を取り込み、顧客接点と商品ラインを面的に拡大する方針である。

このように、同社の中長期戦略は、効率化による品質向上を基盤に、営業力・ブランド力を高めてシェアを拡大し、その成果をもって市場領域を広げていくという、一貫性の高い成長ストーリーを描いている。独立系BTM企業としての機動力と技術力を生かし、2030年に向けてBTM市場全体の構造変革を主導するポジションの確立が期待される。

2. 数値目標
同社は2030年3月期に向けて、既存事業の着実な拡大に加え、新規事業を育成することで、取扱高500億円、売上高55億円、営業利益15億円の達成を目標としている。既存事業では取扱高420億円、売上高45億円を計画しており、それぞれ年平均12%、11%の成長を見込む。主力であるBTM事業の利用企業数拡大や手配件数の増加、さらにホテルやレンタカー、保険など周辺サービスのクロスセル拡大が成長をけん引する見通しである。

利益面では、売上総利益を43億円まで拡大する一方、販管費は28億円に抑制し、販管費の伸びを売上総利益の伸び以下にコントロールする計画である。この結果、営業利益は2026年3月期実績の7.5億円から2030年3月期には15億円へと約2倍となり、営業利益の年平均成長率は19%と最も高い伸びを計画している。親会社株主に帰属する当期純利益も10億円まで拡大し、年平均17%の成長を見込んでいる。これは「Smart BTM」の普及に伴う業務の標準化・自動化、RPAやAIの活用によるバックオフィスの効率化を進め、人員増加を抑えながら利益成長を実現する方針によるものである。

収益性についても改善を見込んでおり、既存事業の営業利益率は2026年3月期の25.0%から2030年3月期には33.3%へ上昇する計画である。一方、新規事業は先行投資フェーズにあることから営業利益率は-6.1%を想定しているが、既存事業が高い収益性を維持することで全社ベースでも27.3%の営業利益率を確保する計画である。既存事業が利益を創出し、そのキャッシュ・フローを新規事業へ投資することで、持続的な成長基盤を構築する戦略となっている。

■株主還元策

配当を上方修正、株主優待も開始。持続的成長と還元のバランスを追求

2026年3月期は1株当たり30円の期末配当を実施した。2025年3月期までは無配だったが、2026年2月には期初予想の25円から30円へ配当予想を上方修正しており、上場後初となる株主還元を実現した。さらに2027年3月期は1株当たり38円への増配を予定するとともに、100株以上を半年間継続保有する株主を対象としたQUOカード2,000円分の株主優待制度を新設するなど、株主還元の充実を図る方針である。

同社は成長投資を最優先とする基本方針を維持しながらも、利益成長に伴い株主還元との両立を一段と重視する姿勢を明確にしている。2030年3月期には総還元性向40%以上を目標に掲げており、配当と株主優待を組み合わせた還元策を通じて、中長期保有を促進するとともに、個人株主層の拡大を図る考えである。個人株主数は前期末時点で約1,300名であり、今後は2,000~3,000名規模まで拡大することを目標としている。また、株主還元の強化は成長投資を犠牲にするものではなく、事業成長と株主還元を両立させながら企業価値の向上を目指す方針である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 中西 哲)

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