*13:38JST ミアヘルサHD Research Memo(8):需要が旺盛な首都圏で事業展開する強みを生かして持続的成長を目指す
■ミアヘルサホールディングス<7129>の今後の見通し
3. 中期経営計画の進捗状況
(1) 中期経営計画の概要
同社は、2027年3月期を最終年度とする中期経営計画を推進している。同社が展開する3事業に関連する社会保障給付費(年金、医療、介護、子育て等)は、2018年度の121兆円から2040年度には1.5倍の188兆円に拡大する見通しで、同社にとって追い風となる。医療・介護・子育ての3事業をバランス良く展開することで、中長期的な環境変化に耐えうる安定した収益基盤の構築が期待できる。特に成長余力のある首都圏、なかでも東京都内に集中した事業展開は、同社の中期的な成長要因の1つとして挙げられる。
同社はグループの提供価値として、国の2大福祉政策である「子育て支援」「高齢者支援」の地域展開を掲げ、基本方針に「成長戦略の加速」と「経営基盤の強化」を据えている。「成長戦略の加速」は、ドミナント展開と事業部間連携によるシナジー創出によって実現を目指す。これにより人的リソースの効率運用が可能となるほか、地域ブランド力の向上による顧客獲得コスト低減も期待できる。先行事例である東京都港区エリアでは、子育て支援施設や学童クラブ、保育園、介護事業所、調剤薬局など合計30施設を運営している。今後は台東区や江東区、葛飾区のほか、介護事業所が点在する東武東上線沿線などを候補に展開を加速する方針だ。一方、「経営基盤の強化」施策としては、認証保育園の認可化などを含めた不採算事業所の整理・統合を進めるほか、ICT、DXの活用による業務効率化を図り、収益性の向上と持続的成長、並びに安定的な経営基盤の構築を目指す。
中期経営計画における最終年度の業績計画(2027年3月期に売上高23,800百万円、営業利益830百万円、経常利益830百万円、親会社株主に帰属する当期純利益520百万円)に対し、直近の予想では売上高25,200百万円、営業利益600百万円、経常利益550百万円、親会社株主に帰属する当期純利益360百万円としている。売上高は子育て支援事業の成長により中期経営計画目標を2期前倒しで達成し、1,400百万円上回る見込みだ。営業利益も1期前倒しで目標に近い水準まで成長している。2027年3月期の直近予想は当初計画を下回るものの、子育て支援事業の動向によっては達成する可能性もある。財務指標では、ROE11.4%(2024年3月期は0.2%)、自己資本比率35.0%(同23.9%)を目指す。ROEは親会社株主に帰属する当期純利益が当初計画水準まで拡大すれば達成可能な見通しである一方、自己資本比率は今後の財務戦略次第となる。
なお、2028年3月期からスタートする次期中期経営計画については2026年秋以降に策定に着手する予定である。基本戦略に大きな変更はなく、引き続き3事業を軸にした事業展開により持続的な成長を目指し、生産性向上により収益性の維持向上を図る見通しである。
(2) 事業セグメント別計画
a) 医薬事業
医薬事業は当初計画に対して、売上高は380百万円の増額となる一方、セグメント利益は120百万円の減額を見込む。大手ドラッグストアの参入など競争が激化するなかで、医療機関やグループ運営施設(介護事業所や保育園等)との連携強化による処方箋枚数の拡大、調剤技術料の加算獲得に注力する方針だ。当初の利益計画を下回る背景には、近年の調剤報酬改定においてかかりつけ薬局の機能強化や人件費上昇への対応が求められていることに加え、形態別で門前薬局に厳しい内容が続いている点が挙げられる。
こうした環境変化に対応するため、同社は集客力・収益性の高い医療モール型薬局を年間1~2店舗のペースで出店する計画である。新規開設コストが高騰しているため、小規模薬局のM&Aも視野に入れている。高度な薬学管理の豊富な実績を基に病院やクリニックとの信頼関係をさらに強化し、患者や医療機関から信頼されるブランド力の構築を目指す。また、外来がん治療認定薬剤師や緩和薬物療法認定薬剤師などの専門認定薬剤師を育成し、同社グループが運営するホスピス対応型ホームとのシナジーを創出するとともに、かかりつけ薬局としての機能強化に取り組むことで、技術料単価の引き上げを目指す。
リスク要因としては、大学病院における逆紹介の動きが継続することに伴う、既存門前薬局の処方箋枚数減少や、医薬品卸会社との価格交渉難航を背景とした仕入原価率の高止まりなどが挙げられる。同社では、ICTの活用や派遣社員の正社員化により、薬剤師の生産性向上を図ることで収益性の維持向上を目指す。
b) 子育て支援事業
子育て支援事業は当初計画に対して、売上高で960百万円、セグメント利益で215百万円の増額を見込んでいるが、さらなる上振れ余地を残している。市場環境としては、認可保育園の整備が進んだことにより待機児童が減少傾向にあり、同社が主に事業展開している東京都内でも認可保育園の新規開設ニーズは一服しつつある。ただ、全国的に少子化の動きが加速するなかで、2025年の東京都内の出生数は前年比1.0%増と10年ぶりに増加に転じるなど底堅い動きを見せている。加えて、女性の社会進出に伴い学童クラブの需要は今後も拡大が見込まれる。こうした需要が高まるなか、学童クラブ運営事業では、2025年度より東京都で新たに開始された「認証学童クラブ制度」※において、同社の「After School ミライン 文京GARDEN」(東京都文京区)が認証された。同社ではこの新制度への対応を進め、さらなる収益拡大を図る方針である。また、学童クラブの受託運営についてもさらなる強化を推進する。現在、港区と練馬区で受託運営している9施設の契約更新に加えて、5年ごとに訪れる公募のタイミングを見計らって新規受託先の開拓も進める。
※ 国の基準を上回る放課後児童支援員の配置や、児童1人当たりの床面積、保護者の多様な働き方に合わせた開所時間の設定(平日は午後7時まで開所)などの基準を設け、運営希望事業者を募集し、認証する制度。認証を受けた学童クラブには運営費として1クラス当たり年間約619万円が補助されるほか、受け入れ時間や職員数などを拡充した施設には補助金が加算される仕組みである。
c) 介護事業
介護事業は当初計画に対して、売上高で120百万円、セグメント利益で83百万円の減額を見込んでいる。不採算事業所の整理を進めたことで事業所・施設数が当初計画の65事業所から61事業所に減少したことに加え、前述の制度改定によりホスピス対応型ホームの収益が想定を下回ることが主因である。介護事業に関しては、黒字体質への転換を中期経営計画の目標としてきたため、今後も採算重視の経営方針を徹底する。首都圏における高齢者人口は増加傾向にあり、介護需要の拡大基調は今後も続く見通しである。こうしたなかで同社は、医薬事業との連携を図りつつサービス付き高齢者向け住宅を基盤に通所介護の外部利用者を獲得することで、安定的な成長を目指す。ホスピス対応型ホームについては、当面は新規開設を見送り、既存施設の稼働率を高い水準で安定させるため、紹介先となる病院や地域のケアマネジャーとの関係構築を図る。介護予防(自律支援/重度化防止)から看取りまで連続性・一貫性のあるサービスを提供できることが同社の強みであり、この優位性を訴求することで高い稼働率の維持が期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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