*11:07JST kubell Research Memo(7):金額レンジによる業績予想を開示、達成の蓋然性が高まる(2)
■kubell<4448>の今後の見通し
3. トピックス
足元のトピックスは以下のとおりである。
(1) 導入企業100万社、ARR100億円を突破
同社はChatworkのサービス開始から15年で導入企業100万社を突破した。これは単なる顧客数の拡大にとどまらず、中小企業の日常業務に深く浸透し、働く人の業務インフラとしての地位を確立したことを意味している。
また、全社ARRも100億円を超え、安定したサブスクリプション収益基盤を構築した。特に同社は、この100万社を超える顧客基盤をBPaaS事業拡大のための成長エンジンとして位置付けている。既存顧客との接点を活用しながらBPaaSサービスを展開することで、高い営業効率を維持しつつARPUやLTVの向上を図る戦略である。
新規顧客獲得コストが高騰する市場環境において、既存顧客へのクロスセルによって成長を実現できる点は大きな競争優位性である。今後も顧客基盤を活用しながら、中小企業向けBPaaS市場におけるリーディングカンパニーを目指す。
(2) ChatworkにAI機能を実装
同社はChatworkへ複数のAI機能を実装し、ユーザーの業務効率向上を支援する取り組みを進めている。日常的に利用されるビジネスチャットだからこそ価値が発揮できる機能を中心に開発を進めており、今後も利用状況やユーザーの反響を踏まえながら機能を拡充する予定である。
AI要約機能では、大量の未読メッセージを短時間で把握できるようになり、情報収集や状況確認に要する時間の削減が期待される。AI下書き作成機能では、ユーザーのメッセージ作成をAIがサポートし、コミュニケーション業務の効率化を実現する。
さらに、労働・雇用関連ニュースの収集や解説等を行うAI機能の提供を開始した。法改正や制度変更に関する情報を自動的に収集し、要点を整理したうえで配信することで、企業担当者の情報収集負荷を軽減する。また、「専門分析」や「やさしい解説」といった機能により、利用者の理解度や用途に応じた情報提供を可能としている。加えて、顧問先や社内向け資料の作成支援機能も実装しており、業務全体の効率化につながるサービス群を形成している。
現在は既存プランの料金内でAI関連機能を提供しているが、生成AI利用に伴うサーバー使用コストなども発生していることから、今後は利用状況や顧客の反響を見極めながら収益化も検討する。中長期的にはAI機能の付加価値向上によるアップセルも期待できると評価できる。
(3) Chatwork 社労士AIエージェント事業の開始
同社は新規事業として「Chatwork 社労士AIエージェント事業」を開始した。社労士向けサービス「タクシタ for 社労士」の運営を通じて蓄積した業務知見とAI活用ノウハウによって開発した社労士向けのAIエージェントを提供する事業である。事業化の背景には、タクシタのオペレーション効率化を目的として導入したAI活用の成果がある。その過程で、AIエージェント単体でも十分な事業性を有すると判断し、新たな事業として独立させた。
提供価値としては、手続きや申請、各種処理といった定型業務をAIエージェントが自動化することで、工数削減や人的ミスの低減を実現する点が挙げられる。その結果、社労士は保証・証明業務や顧問先とのコミュニケーションなど、より専門性の高い本質業務へ注力できるようになる。
また、機微な情報を扱う社労士業務を想定し、高いセキュリティレベルで構築・運用されている点も特徴である。同社は今回の事業を単発の新規事業と位置付けるのではなく、社内で培った業務ノウハウやAI資産を事業化するインキュベーションモデルとして捉えており、今後も継続的な新規事業創出を目指している。
(4) 主要サービスが高い評価を獲得
同社の主要サービスであるChatworkは、ITreviewが発表した「The Best Software in Japan 2026」において総合1位を獲得した。これは利用者による高い評価を背景としたものであり、サービス品質やユーザー体験が市場から支持されていることを示している。また、オンラインストレージサービスであるセキュアSAMBAは、ITトレンド上半期ランキング2026において総合1位を獲得したほか、BOXILの2026年上半期資料請求数ランキングでも複数部門で1位となった。さらに、BPaaS領域のChatworkアシスタントについても、ITトレンドの急上昇ランキングで複数部門の1位を獲得している。顧客満足度と市場需要の双方で高い評価を獲得しており、SaaS領域のChatwork及びセキュアSAMBA、BPaaS領域のChatworkアシスタントという事業ポートフォリオ全体において高い競争力が実証されたと言える。
(5) 本社をWeWork KDX 虎ノ門1丁目へ移転
同社は2026年7月、本社をWeWork KDX 虎ノ門1丁目へ移転した。今回の移転は、これまで分散していたオフィスやフロアを集約し、組織運営の効率化と生産性向上を図ることを目的としている。また、移転先についても従来と同様にWeWorkを活用することで、移転コストを抑制しながら環境を整備した。会社側は今回の本社移転による2026年12月期業績への影響は軽微としており、財務面への負担は限定的である。オフィス環境や空調設備などの面で従業員からも好意的な評価を得ており、職場環境改善に寄与している。事業成長に伴い組織規模が拡大するなかで、オフィス機能の集約によるコミュニケーションの活性化や業務効率の向上が期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木 稜司)
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