*12:07JST コーア商事HD Research Memo(7):事業戦略の推進により、中・長期財務目標の達成を目指す(2)
■コーア商事ホールディングス<9273>の中・長期の成長戦略
2. 長期事業計画の成長戦略
長期事業計画では、第1にグループのコーポレート・スローガン“New Business Model Innovation”を掲げ、商社機能と製造機能を併せ持つビジネスの独自性とそのシナジー効果を十分に活用して、国内の医薬品業界に新しいビジネスモデルを確立する。第2に、コーア商事を原薬輸入商社から医薬品専門商社へ転換し、ジェネリック医薬品のみならず長期収載品※1・AG※2への展開、新しいモダリティへの対応であるライセンスイン活動※3を推進する。第3に、コーアイセイは、注射剤を主としたジェネリック医薬品メーカーから特長のある注射剤国内トップメーカーになることを目指し、蔵王工場シリンジラインの増強や、バイアルラインの本格稼働に向け、新規品目を追加するとともに、医薬品倉庫や注射剤製造設備等へ投資し、生産能力強化や安定供給体制を推進する。
※1 既に特許が切れ、同じ効能・効果を持つジェネリック医薬品が発売されている新薬。
※2 先発医薬品メーカーから許諾を得て製造される、原薬、添加物及び製法等が新薬と同一のジェネリック医薬品。
※3 知的財産が絡む場合において、開発、製造、販売の権利を買うこと。
成長戦略によって医薬品セグメントの成長を加速させ、現在の原薬セグメント中心の収益構造から2030年6月期までに2本柱の事業ポートフォリオとすることで、より安定した事業基盤を持つ企業グループを目指す。また、成長投資と株主還元にも配慮し、設備投資、回収・リターン、株主還元というサイクルを回すことで、持続的な成長と資本コストを意識した経営、すなわち、ROEの向上、流動性改善策(積極的なIR活動の実施、株主還元策、資本政策等)の検討などによる企業価値向上を図る。
3. 中期経営計画の成長戦略
同社グループでは、長期事業計画の達成に向けて、3年間(2026年6月期~2028年6月期)の中期経営計画を策定した。ジェネリック医薬品業界では、医療費の適正化に向けて市場の拡大が見込まれる。ジェネリック医薬品の使用促進のため、2024年3月14日に開催された「社会保障審議会医療保険部会」において、「後発医薬品(ジェネリック医薬品)の金額シェアを2023年薬価調査の56.7%から2029年度末までに65%以上とする」新目標が設定された。また、2024年10月1日よりジェネリック医薬品が販売されている先発医薬品である長期収載品に対して選定療養※の仕組みが導入され、さらに2026年6月より対象となる医薬品においてはジェネリック医薬品との差額の2分の1が患者負担として増えたため、ジェネリック医薬品の使用が促進されていると推測される。これらのジェネリック医薬品の促進策により、さらなる市場の拡大が見込まれる。
※ ジェネリック医薬品が存在する先発医薬品を、医療上の必要性がないにもかかわらず希望する患者に対して、特別な料金支払いを求める仕組み。
このような事業環境や方針の下、原薬セグメントの中・長期事業戦略として以下の7つを掲げる。成長が見込める新規収載品を中心に採用を進めるとともに、既存品のシェア拡大、長期収載品への展開をすることで、原薬輸入商社から医薬品専門商社への転換を目指す。
(1) 2030年6月期目標達成に向けた蓋然性のある成長(新規採用の最大化)
(2) サプライチェーンの強化と多様化
(3) DX推進とAI技術の業務活用
(4)「医薬品専門商社」「モダリティ革命」の推進(新規事業)
(5) 進化するニーズに応えるバックオフィス(横浜医薬分析センター更新)
(6) グループ間シナジーの強化
(7) ESGへの対応
2026年6月期の取り組み状況は、(1)については、新規収載品の採用案件増加は、ジェネリック大手中心に達成した。また、既存品のシェア拡大は、新規2ndの案件化目標は達成した。さらに、長期収載品等の新薬メーカー向けビジネスの展開も、開発部門の新規調査着手品目も順調に増加した。(2)については、重点サプライヤーとの面談や、顧客への同行訪問に関する目標件数を達成した。(4)については、提案件数が前期から増加した。
一方、医薬品セグメントの中・長期事業戦略では、ESGに配慮し、開発から製造まで開発提案型の受託事業(CDMO)による持続的成長を実現し、法令遵守を基本とし、薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)の改正に対応した品質管理体制の強化並びに安心・安全な医薬品の安定供給を行うことを目指す。その実現に向けては以下の4つの事業戦略を掲げ、特長ある注射剤の国内トップメーカーを目指す。
(1) 2030年6月期の目標達成に向けて(蔵王第二工場の早期稼働、安定供給体制)
(2) 開発提案型の受託事業(CDMO)戦略推進(新たな受託獲得、新規開発検討)
(3) 法令遵守
(4) ウェルビーイング経営(人的投資と教育)
2026年6月期の取り組み状況は、(1)については、シリンジ製品の市場拡大に伴い、蔵王第二工場の稼働時期の前倒しを目指している。(2)については、新規シリンジ製剤の受託獲得は順調に進行した。また、マキサカルシトールの生産は計画を達成した。さらに、新規バイアル液剤のCDMO案件は治験薬を製造するなど順調に進行した。加えて、候補品目の開発が進行中であり、その他の数品目に対し原薬選定や市場調査を実施している。
以上のとおり、同社では中・長期財務目標の達成に向けて着々と事業戦略を推進している。2027年6月期はコスト増加の影響で一時的に減益を見込むものの、2028年6月期からは蔵王第二工場の本格的な貢献もあって本来の成長軌道に戻り、中期経営計画の財務目標達成を目指している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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