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FiscoNews

【注目トピックス 市況・概況】二面性持つ今年のスイスフラン【フィスコ・コラム】

*09:00JST 二面性持つ今年のスイスフラン【フィスコ・コラム】
今年のスイスフランは、環境により異なる顔を見せています。地政学リスクが高まれば安全通貨として買われる一方、相場が落ち着けばゼロ金利を背景に売りが目立ちます。対ユーロと対ドルで、それぞれ変動要因が異なる点も今年の特徴です。

年明け以降、米国・イスラエルとイランの対立が激化すると、逃避資金がフランへ流入。ユーロ・フランは3月に一時0.8980フラン付近まで下落しました。ドル・フランも0.76フラン付近で推移し、フランは安全通貨として買われました。

その後は流れが反転。足元はユーロ・フランが0.9470フラン付近、ドル・フランも0.83フラン付近へ浮上しています。フランは年初から対ユーロで5%超、対ドルでは9%超も下値を切り下げたことになります。

対ユーロでフラン売りを促したのは、欧州中央銀行(ECB)とスイス国立銀行(SNB)の政策の違いです。ECBは9月10日に預金ファシリティ金利を0.25ポイント引き上げ、2.5%としました。一方、SNBは9月24日の会合で0%に据え置き。この金利差が、ユーロ買い・フラン売りにつながっています。

対ドルでは、別の力が働きました。米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げに踏み切り、追加利上げにも含みを残したことで米金利が上昇。中東情勢が緊迫した局面でも、安全資産としてドルが選ばれ、フラン買いを打ち消しました。同じ安全通貨でも、金利の高いドルが優位に立った形です。

スイスの8月消費者物価指数(CPI)は前年比+0.8%でしたが、主因は燃料高。SNBは物価上昇の広がりが限られると判断し、早期利上げの示唆は見送られました。このため、低金利のフランを売って高金利通貨を買う「フラン・キャリートレード」も意識され始めています。

SNBは為替介入について「必要に応じて行動する」との表現にとどめました。フラン安が進み、上昇を強くけん制する必要が薄れたためでしょう。決定後、ユーロ・フランは0.9430フラン台まで上昇しました。

当面、ユーロ・フランは0.94-0.95フラン、ドル・フランは0.83フランを中心に推移するとみられます。中東情勢が落ち着けば、金利差を背景にフラン売りが続くでしょう。反対に、紛争の激化や株安が重なれば、対ユーロでは安全通貨として急速に買い戻されます。

平常では低金利通貨として売られ、危機では安全通貨として買われる。ただ、対ドルでは安全通貨同士の競争にもなります。この二面性と相手通貨による違いが、今年のフラン相場を読み解く鍵です。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。

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