立派なスライドをレポートにすると「文章化できない」
元マスコミ勤務で、現在は私立大学の実務家教員として働く男性・Bさん(60代)も、資料の見栄えと内容への理解に落差を感じている。
「プレゼン資料そのものは、デザインツールで作っているので立派なのですが、その内容をレポート課題として提出させると、“文章化する力”が伴っていないことがあります。なかには、生成AIで作ったプレゼン資料の内容を十分に理解しておらず、文章化できないというケースもあります」(Bさん)
Canvaのテンプレートを使うことと、生成AIに内容を作らせることは別だ。ただ、Bさんがいずれの場合も気にかけるのは、完成した資料について、学生自身が理解し、説明できるかどうかだという。
「現場で働いていた身からすると、心配なのは就職したあとのことです。社会人になれば、プレゼン資料を作る機会もあるでしょう。いかにツールを使ってきれいな資料が作れても、大事なのは自分でその中身を理解しているかどうか。“見栄えさえよければ乗り切れる”と考えてしまうと、社会人になったあとで相当苦労するのではないか。老婆心ながら、学生たちの将来を案じることも増えましたね」(同前)
見やすい資料を作る力と、根拠を調べ、自分の言葉で説明する力──。スライドだけでは見えにくかった違いが、発表やレポートを通じて表れることもある。一方、そもそも資料作成ツールに慣れていないどころか、PC自体を使わない学生もいるという。
後編では、PCの所有状況や使用経験の違いから二極化する、Z世代学生のIT学習環境を取り上げる。