*11:08JST 明豊エンター Research Memo(8):新中期経営計画を推進中、2028年7月期売上高450億円を目指す
■明豊エンタープライズ<8927>の成長戦略
1. 中期経営計画
同社は2025年9月、2026年7月期から2028年7月期までを対象とした中期経営計画を発表した。「資産価値を創り、育て、未来へつなぐ不動産メーカーに」との中期ビジョンの下、設立から60周年を迎える2028年7月期において売上高450億円、営業利益52億円の計画値を達成すべく、これまでの垂直統合戦略から垂直統合・水平展開戦略へと基本戦略をアップデートし、成長機会を拡大させることで収益の安定化と企業価値の最大化を図る。具体的にはこれまでの土地取得から企画・設計、建築、販売、管理・修繕までを同社グループ内で一貫して行い、高品質と高収益を両立する垂直統合の仕組みをさらに発展させ、垂直統合の各機能において培った技術やノウハウを外部企業からの受注や外部企業との協業、またはグローバル対応の形で横展開することで収益安定化と企業価値の拡大を目指す戦略を進めていく。財務戦略に関わる数値目標として、2028年7月期において連結売上高450億円、営業利益52億円、ROE17.6%とし、配当政策としては累進配当を維持する方針としている。計画初年度となる2026年7月期における計画の達成状況は、売上高が計画値(376億円)の98.1%、営業利益が同(38億円)の123.8%、ROE※が22.2%と同(17.9%)を4.3ポイント上回り、売上面はおおむね達成、利益面は計画を上回る成長を記録した。
※ ROEは親会社株主に帰属する当期純利益÷期末株主資本により算出。決算短信の自己資本当期純利益率とは算定基準が異なる。
2. 重点施策の進捗状況
中期経営計画においては以下の重点施策を進めている。
(1)不動産開発事業
都内城南・城西地区における物件供給力の強みを生かしつつ、国内・海外の幅広い投資家層とのネットワークを拡大し、販路の多様化と資金調達の機会拡大を図るべく、「グローバル営業の推進」「海外機関投資家開拓」「フィービジネスの導入」の3点の施策を推進中である。このうち「グローバル営業の推進」及び「海外機関投資家開拓」では、台湾現地法人を活用した現地投資家や富裕層への販売体制を強化する等の施策が進行中で、2026年7月期は前期比4件増となる6件の海外販売を記録した。今後もこのような直販ルートを強化し、海外での顧客層開拓と販売シェアの拡大を推進していく。
(2)不動産賃貸事業
AIやITを活用した管理サービスを国内外の物件オーナーに展開し、管理戸数と収益源の拡大を図るべく、「先端技術活用」「グローバル拡大」「M&A戦略」の3つの施策を展開している。「先端技術活用」ではAIやITによるスマート管理サービスを導入することによる業務効率化と顧客満足度向上の両立を図る。前述のようにオーナー向けアプリやスマートロック、360度VRコンテンツ制作サービス等を導入している。「グローバル拡大」では海外投資家獲得による収益基盤強化を図るもので、不動産開発事業における海外向け販売との協業により物件販売後のプロパティマネジメント案件の取り込みを強化している。「M&A戦略」では国内外でのM&Aにより技術導入と管理戸数の拡大加速に向け、シナジーが見込めるM&A案件の調査を進めている。
(3)建設事業
住宅施工に加え、非住宅(オフィス・ホテル等)やリニューアル物件の受注を拡大するべく、「外部受注の強化」「リニューアル事業の体制強化」「非住宅工事への取り組み」の3点の施策を進めている。「外部受注の強化」では、グループ会社の協栄組を中心に、同社グループで有する建設ノウハウを外部案件へ展開することで受注拡大を目指す。2026年7月期は外部受注による竣工案件は7件となり、前期比4件増加した。期末現在で11件の案件の施工が進んでおり、2027年7月期は6件の竣工を見込んでいる。「リニューアル事業の体制強化」においては、業界全体の人材不足に対応するため、施工や技術の担い手となる専門知識を有する高度外国人材の採用を積極化している。「非住宅工事への取り組み」では、RC造の建築に大きな強みを持つ協栄組の技術力を生かしてオフィスやホテル等の非住宅物件への取り組みを強化していく。
(4)その他
1)CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)改善
中期経営計画の財務戦略・キャッシュアロケーション(資金配分)として、CCCの短縮を目指す。CCCを用地仕入から物件売却までの期間として算定しているが、2026年7月期の実績は19.6ヶ月となった。短縮に向けた現在の課題は、一部物件における権利関係調整や土地解体・造成作業といった着工前プロセスの長期化や、建設業界における工期の長期化である。同社は目標を16.3ヶ月に定め、仕入から着工までの意思決定等の迅速化や、工期や工程管理を意識した事業期間の短縮、市場ニーズに応じた土地転売等による資産回転率の改善といった施策を推進する方針である。また同社グループによる建設に加え、他社の新築物件を仕入れ、同社ブランドで販売するといった施策も進めている。これらの物件に対しては工期中に買付けし、外構等に同社ブランドのデザイン等を反映させる。
2)生産性の向上
組織人事戦略では社員の生産性向上を目標に掲げる。KPIに1人当たり売上総利益額を設定し、中期経営計画最終年度の2028年7月期に44.1百万円の達成を目指すなか、2026年7月期実績は47.3百万円(前期比9.6百万円増)と、目標値を上回った。同社は、研修制度の充実から若手社員を育成、早期に開発プロジェクトに投入する等の人財活用策を推進している。またグループ会社の明豊エンジニアリングではDXを推進している。2026年4月より工務部門と経理部門にて、建設業に特化した建設業務統合クラウドシステム「建設バレーナ」を導入した。これにより、データ化された支払関連書類を工務部門から経理部門の会計システムへ連携する。この効果として、工務部門で月間約46時間、経理部門で月間約11時間の作業時間削減が可能となる見通しである。明豊エンジニアリングでは、このほかにも竣工検査向けチェックシステムや、AI音声認識を活用した議事録の自動作成等の施策にも着手しており、今後の業績面での寄与が期待される。
3)グローバル人財育成
組織人事戦略の一環として、上記のほかバイリンガルのグローバル人財育成に注力している。言語や高度な営業スキル研修を導入する等の施策を展開しており、KPIのグローバル人財数を、中期経営計画最終年度の2028年7月期に10人を目指す。2026年7月期は7人(前期は3人)となり、採用及び育成は順調に進んでいる。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬 智一)
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