従って、謝礼を要請するのは、間違っているということはありませんが、町内会の理解を得ることができるかはわかりません。
それとは別に、注意すべきことがあります。ボランティア活動は、無償であっても、責任があるということです。昔の事件ですが、子供会の海水浴で発生した水難事故について、ボランティアで引率した親の責任が問われました。
札幌地裁が「無報酬の社会的に有益ないわゆるボランティア活動であるということのみから当該活動の場で予想される危険についての予見及び結果回避に必要な注意義務が軽減又は免除されるべきであるとの結論を導けない」と判断し、世間に大きな衝撃を与えました。
その後も、ボランティア活動に関する事故の責任が問題になった事例もあります。また、注意義務違反がなかったとして、ボランティアの責任を否定する判決もありますが、無償だからといって、注意義務が軽減されることはないという原則は変わりません。
そこで謝礼もさることながら、事故の際にボランティアのケガだけでなく、第三者に対する賠償責任を担保するボランティア保険に入るよう、町内会などに求めてはいかがでしょうか。
【弁護士プロフィール】竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。
※週刊ポスト2017年7月14日号