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年金75歳受給 高齢者が幅をきかせる政治家ならではの発想

高齢者に「働いて年金保険料を納めよ」というのが働き方改革なのか(安倍首相と加藤新厚労相。写真:時事通信フォト)

高齢者に「働いて年金保険料を納めよ」というのが働き方改革なのか(安倍首相と加藤新厚労相。写真:時事通信フォト)

 週刊ポスト2017年8月11日号で報じた「年金は75歳までもらえなくなる」特集に、「本当なのか」「どうすればいいのか」といった問い合わせが殺到した。近い将来、「75歳からが高齢者で、それまでは働けるから年金は不要」とみなされる社会がやってくる。そのとき私たちが直面するのは、高齢者になる前に資産を食いつぶしてしまう、老後破産ならぬ「老前破産」である。政府の「一億総活躍」のかけ声のもと、「一億総下流老人」の危機が迫っている。

 かつて第1次安倍内閣は「消えた年金」問題で発足早々に国民の支持を失い、その後の相次ぐ閣僚スキャンダルを経て、政権崩壊への一本道を転げ落ちた。それから10年、安倍政権はその時の「反省」を忘れ、年金に対する国民の怒りを買おうとしている。

「75歳まで国民に年金を払わないことで社会保障財政問題を一発で解決する」──という皮算用である。

 内閣府の有識者会議「高齢社会対策の基本的在り方等に関する検討会」では、年金受給開始年齢の「75歳選択制」を盛り込み、年内にも閣議決定する方針を打ち出した。かつて受給開始年齢を60歳から65歳に引き上げた年金大改悪(1994年と2000年)の手法と同じである。

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