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田代尚機のチャイナ・リサーチ

日本の中国向け輸出が過去最高に 背景にスマホ需要の拡大

中国はスマートフォンの世界最大の市場(写真:アフロ)

 日本の輸出が好調だ。11月20日に財務省が発表した貿易統計によれば、10月の輸出は前年比14.0%増(円ベース、速報値)で、4か月連続で二桁の伸びとなった。国別にみると、トップは中国で全体の20.2%を占め、前年比26.0%増加した。第2位はアメリカで19.1%を占め、7.1%増加。以下、第3位はASEAN諸国で15.3%を占め19.5%増加、第4位はEUで11.3%を占め15.8%増加した。輸出割合、伸び率をみる限り、中国向け輸出増が日本の輸出増に大きな影響を与えたといえそうだ。ちなみに、中国向け輸出は過去最高を記録している。

 寄与度の高い品目を挙げると、半導体等製造装置、有機化合物、プラスチックで、伸び率は順に123.0%、42.2%、28.9%であった。スマホ、PC、家電などの電気製品、機械製品の世界シェア(生産地ベース)は、中国のウエートが高い。中国国内の需要動向というよりも、世界全体の需要動向に影響を受けているといえよう。しかし、この伸び率の高さを考えると、需要の好不調といった話ではなく、もっと大きな社会的な変化が起きていて、それに起因して大きく伸びているのではなかろうか。それを代表するのがスマホであろう。

 中国でのスマホ生産に関しては、アップルのiPhoneばかりに注目が集まっているが、華為、OPPO、VIVO、小米、ZTEなど中国メーカーの存在が日増しに大きくなっている。中国系メーカーの輸出量が増えているということよりも、中国市場が世界最大の市場であり、かつ需要が現在でも高成長を続けていることが大きい。スマホは単に移動する電話ではなく、移動するパソコンであり、ゲームであり、財布であり、デジカメなどである。スマホが多彩な用途で使われ、次々と新しい需要を生み出しているからスマホの需要が伸び続けている。

 iPhone X登場のインパクトは大きい。有機EL、顔認識、AR(拡張現実)、VR(仮想現実)、無線充電については今後、各社が競って導入することになろう。iPhone Xの生産がひと段落すれば、日本からの関連部品の輸出が鈍化するのではないかといった懸念もあるが、それは杞憂だろう。

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