田代尚機のチャイナ・リサーチ

日本の中国向け輸出が過去最高に 背景にスマホ需要の拡大

 中国では、政策により、電気自動車への移行を急速に進めようとしている。太陽光発電、風力発電といった新エネルギーへの転換も同様である。自動運転、AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)の分野でも、政府主導により、急速に需要が拡大する可能性がある。かつてもそうであったが、中国の変化のスピードは大多数の日本人の常識を超えている。中国で、新しい産業が生まれ、需要の拡大が続く限り、技術力の高い日本にはビジネスチャンスがありそうだ。

対中貿易収支は2657億円の赤字に

 輸入についても、足元の状況を確認しておくと、10月の輸入は18.9%増(円ベース、速報値)で、9月と比べ6.8ポイント高く、8か月連続で二桁の伸びとなっている。円安の影響(価格調整よりも数量調整が遅れることによる影響)もあるだろうが、やはり、足元では内需が強くなっているのだろう。国別にみると、トップは中国で全体の25.3%を占め、前年比14.3%増加した。第2位はASEAN諸国で15.7%を占め、21.8%増加した。以下、第3位はEUで12.5%を占め18.1%増加、第4位は中東で10.7%を占め42.0%増加した。

 ちなみにアメリカは第5位で9.9%を占めるが、3.1%増加に留まっている。貿易不均衡は更に拡大している。トランプ政権が日米の貿易不均衡に大きな不満を抱いているが、経済構造上アメリカから輸入は増えそうにない。残念ながら、北朝鮮の脅威を材料にアメリカから言い値で武器を購入することぐらいしか解決の道がないのも事実である。

 中国に関しては圧倒的に輸入シェアが高くなっている。輸出も多いがそれ以上に輸入が多いことから貿易収支は2657億円の赤字となっている。寄与度の高い品目を挙げると、衣類・同付属品、通信機、電算機類(含む周辺機器)などである。衣類は当然としても、スマホ、パソコン、テレビ、家電、電子機器を中国から大量に輸入しなければならなくなっている点は問題かもしれない。

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