田代尚機のチャイナ・リサーチ

米中貿易紛争、追加関税の応酬なら人民元安の進行必至

 銀行間市場取引における中国の為替システムは特殊である。中国人民銀行がその日の取引が始まる前に発表する基準値に対して一定の値幅の範囲内(人民元対ドルレートでは±2%)において、市場参加者は自由な取引を行うことができるといった制度である。一見すると、株式市場におけるストップ高、ストップ安制度と似たような感じにも受け取られ、変動相場制と変わりがないのではないかと思うかもしれない。しかし、取引が始まる前に発表される基準値が、実勢とは逆に動いたとしたら、市場参加者はそれに敏感に反応する。こうして中国人民銀行は為替レートを誘導することができる。

 今回の動きをみる限り、前日の終値と比べ、基準値がいつも安いといったわけではない。結果だけ見ると、中国人民銀行は為替レートに中立のような感じもする。

 しかし、中国人民銀行は最大規模の市場参加者である。また、ビッグプレーヤーである国有商業銀行や全国ネットの都市銀行などは、中国人民銀行に人事権を握られており、国家政策として、取引に関して何らかの指示を受けていないとは言い切れない。為替操作をやっているのか、やっていないのか断言はできないが、やろうと思えばいくらでもできるシステムである。

 7月6日には米中双方が340億ドル相当の輸入品の追加関税をかけ合う予定となっている。もし、トランプ大統領が直前で追加関税措置を撤回しなければ、中国側の報復措置として、一層の元安進行が予想される。

文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うTS・チャイナ・リサーチ代表。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」、メルマガ「週刊中国株投資戦略レポート」も展開中。

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