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【ドル円週間見通し】9月末の追加利上げを想定、底堅い展開か

今週のドル円相場の展開はどうなるか

 投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が9月3日~9月7日のドル・円相場の見通しを解説する。

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 今週のドル・円は底堅い展開か。米連邦準備制度理事会(FRB)が9月25-26日に開催する連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利上げをにらんで、米国経済指標を点検する展開となりそうだ。

 ただ、トランプ米大統領は今週のパブリックコメント期間終了後、2000億ドル規模の中国製品に対する追加関税を発動させる意向であり、米中摩擦激化に対する警戒感は消えていない。米中貿易摩擦のさらなる激化も想起され、世界経済の減速懸念は強まり、新興国通貨などに対するドル買いが再び強まる可能性がある。また、アルゼンチンペソやトルコリラ、南アランドなど新興国通貨は不安定な値動きを続ける可能性があり、通貨危機を念頭にリスク回避的な円買いも強まりやすい。

 しかし、8月24日の米ジャクソンホールでの講演で、パウエルFRB議長は好調な経済を背景に目先の引き締めに積極的な姿勢を示した。29日発表された4-6月期米国内総生産(GDP)改定値の堅調な内容はそうした見解を裏づけており、ドルを積極的に売ることは難しい状況が続くだろう。

 一方で、同議長は、将来的に政策金利を中立的な水準とみられる3%付近まで引き上げる意図はあるものの、過度な利上げを避けたいとの見解も述べている。市場関係者の一部は利上げは来年で打ち止めと予想しており、過度なドル買いも入りづらい見通し。

 7日に発表される8月雇用統計など経済指標は、9月と12月の追加利上げに向けた有力な手がかりとみられる。ただし、予想とおおむね一致した場合、市場反応は限定的となりそうだ。

【米・8月ISM製造業景況指数】(9月4日発表予定)
 9月4日発表の8月米ISM製造業景況指数は57.6と、7月の58.1を下回る見通し。今年2番目の高水準となった6月の60.2から伸びは鈍化している。ただ、高水準であるため、市場予想と一致すれば、ドル売り要因にはなりにくい見通し。

【米・8月雇用統計】(9月7日発表予定)
 9月7日発表の8月米雇用統計は、失業率3.9%(前回3.9%)、非農業部門雇用者数は前月比+19.1万人(同+15.7万人)、平均時給は前年比+2.8%(同+2.7%)が市場コンセンサス。想定に沿った内容なら9月と12月の利上げ観測は後退せず、ドルは底堅い動きを見せる可能性がある。

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