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遅刻する若者を叱るのはパワハラか? 三島由紀夫の教えとは

「平気で遅刻する若者」を叱ることはパワハラなのか?

 美術家の横尾忠則氏(82)が、制作用の素材を持参するはずの美術館職員が30分遅刻したことに激怒し、個展を延期した問題が波紋を広げている。一部には「パワハラ」「年寄りのわがまま」という批判もあるが、政治評論家・小林吉弥氏は「横尾さんが怒るのは当然。今の若者は時間にルーズすぎる」と賛同する。

「私が若い頃は、待ち合わせ時間の5分、10分前には約束の場所に到着して、相手を待ったものです。それが今は、10分、20分遅れてきて、謝罪するどころか『今日は暑いですね』とか『今日は道路が混んでますね』と平気な顔で挨拶してくる。なかにはヘラヘラ笑っているのもいる。これでは人間関係なんて築けませんよ」(小林氏。以下「」内同)

 その背景にはスマホの影響があるのではないか、と小林氏は指摘する。

「遅れそうになっても、『メールで連絡しておけば、5分や10分の遅刻は許してくれるだろう』という甘えた感覚が体に染みついてしまっているんじゃないか。ケータイがなかった時代は、相手が家を出た後は連絡を取る手段がなかった。遅れそうになったら、必死で走るしかなかったですよ」

 小林氏が“10分前行動”を自らに課すようになったのは、社会人1年目の大失敗がきっかけだった。

「三島由紀夫の自宅にインタビューに行くことになり、待ち合わせ時間に合わせて出発したんです。三島の自宅周辺は自分が子供の頃に育った場所だったので、土地勘には自信があった。ところがうっかり道に迷って5分ほど遅れてしまった。

 到着すると三島が玄関先に立っていて、『若い者が時間に遅れるのはまずいぞ。社会の約束事はすべて時間から始まる。時間を守れないヤツが社会で他の約束ができるのか』と、ガツン。その後のインタビューはガタガタでした。頭が真っ白になって、聞きたいことの10分の1も聞けずに終わってしまった」

 横尾氏の怒りを買った美術館職員も、これが“良薬”となってくれると願いたい。

※週刊ポスト2018年10月12・19日号

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