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雑誌『家主と地主』に寄せられた「骨肉相続」戦慄の実例集

「雑誌の性質上、当初は不動産関連の相続トラブルを軸に考えていましたが、取材を進めてみると、不動産が絡まないケースも少なくなかった。そのため今はあらゆる角度から幅広く相続問題を扱っています」(永井編集長)

 同誌編集部に日々寄せられる相談には、トラブルの原因、そして解決のヒントが隠されている。

「約束が違う!」「遺産を返せ!」兄弟の遺恨

 東京郊外に住むA家は、年老いた両親と長男、次男、長女の5人家族。2年前に父親が遺言書を残さず亡くなった際、母親は軽度の認知症を発症しており、遺産分割協議とともに「誰が母と同居するか」の話し合いを進めた。

 その席で長男が「自分が面倒を見るので、その費用をかねて遺産を多くもらいたい」と主張。長女と次男は兄にすべて任せる代わりに、5000万円相当の自宅不動産を含めて財産の8割を長男が相続することに同意した。

 ところが、それから1年後、認知症の進んだ母親の介護に手を焼いた長男は、独断で格安の特別養護老人ホームに入所させてしまう。

 一報を聞いてホームに駆けつけた弟妹の前には、ベッドで変わり果てた母の姿があった。手足はやせ細り、顔は土気色。「あぁ、うぅ……」とうめくばかりで、ほとんど会話もできない状態だった。長男からは十分な介護を受けられず、放置に近い状態だったという。

「約束が違う!」
「遺産を返せ!」

 長女と次男が激怒すると、長男は「すでに遺産分割協議で合意したじゃないか」と開き直る。問い詰めると、自宅はすでに売却手続きをしており、その金で都内一等地にマンションを購入する予定だという。

 そんな長男を前に、弟と妹は悔しさのあまり涙を流すしかなかった──。

 次の紛争事例は、関西地方で不動産賃貸業を営むB氏のケース。2人の息子に家業を手伝わせていたが、B氏は末期の肺がんを患った。

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