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裁判官が犯行少年に向けてさだまさしの『償い』を口にした理由

裁判官が具体的な曲名を挙げる説諭は異例のことだった

裁判官が具体的な曲名を挙げる説諭は異例のことだった

 裁判官が判決を言い渡した後、被告人に対して行いを改めるよう諭す言葉が「説諭」で、正確には「訓戒」という。日々、さまざまな事件が起きているが、裁判官の説諭を聞くことを目的として傍聴に行く人もいるという。

 最近では、麻薬取締法違反の罪で有罪判決を受けたピエール瀧(52才)の判決公判で、東京地裁の小野裕信裁判官が5分にもわたる説諭をしたことが話題となった。裁判の現場でいったい、どのような話が繰り広げられているのだろうか。2つの実例から、印象に残る裁判官の発言を紹介しよう。

【事件データ1】
・東京地裁 山室惠裁判長(2002年2月19日)……東京・三軒茶屋駅で男性に対して殴る蹴るの暴行を加え、頭部打撲により相手を死亡させ、傷害致死容疑で起訴された18才の少年2人に対しての発言。

『唐突だが、君たちはさだまさしの『償い』という唄を聞いたことがあるだろうか。この唄のせめて歌詞だけでも読めば、なぜ君たちの反省の弁が、人の心を打たないかわかるだろう』

 さだまさしの『償い』は、やさしくまじめな“ゆうちゃん”が、ある日突然、交通事故の加害者となり、自分の犯した罪を償うために被害者の妻に毎月、働いたお金を送るという歌詞。実話が基になっている。司法ジャーナリストの長嶺超輝さんが語る。

「人ひとりの命を奪ってしまったことに対し、加害者の少年たちは『申し訳なく思います』『反省しています』『深くお詫びします』などの謝罪の言葉を述べたものの、態度は淡々としており、事の重大さを正面から受け止めているとは言い難いものでした。そのため、裁判長は『償い』を口にしたのだと思います」

 裁判官が具体的な曲名を挙げる説諭は異例で、新聞やテレビでも大きく取り上げられた。

「判決の翌日、東京拘置所にいる加害者の1人の少年の元に叔母から、歌詞を書き写した手紙が届いたそうです。その後、少年たちは控訴することなく、実刑判決が確定しました」(長嶺さん・以下同)

 この説諭が少年たちの心の奥まで届いたに違いない。

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