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大日本印刷:成長の踊り場にある割安、高配当銘柄として注目

大日本印刷(7912):市場平均予想(単位:百万円)

大日本印刷(7912):市場平均予想(単位:百万円)

企業概要

 大日本印刷(7912)は印刷業界2強の一角として知られ、社名からも「印刷物を作る会社」「斜陽産業にある会社」というようなイメージを持たれがちですが、実際には、印刷技術を応用した電子部材やICカード、産業用高機能フィルムや包装材の製造、また情報サービス事業やデジタルマーケティングサービスなど、事業は多岐に渡ります。デジタル化・ペーパーレス化によって多くの印刷会社が撤退していく中、多角化によって新たな成長の道筋を描いている数少ない企業です。

 特にエレクトロニクスの分野では、パウチ、有機ELディスプレイ製造用のメタルマスク、ディスプレイ用光学フィルムで世界トップシェアを獲得するなど、エレクトロニクス企業としてのポジションを確立しています。

注目ポイント

 2021年3月期は、コロナ禍でイベントや各種販促活動が自粛されたことなどにより印刷関連需要は落ち込みましたが、その一方でテレワークの普及やオンライン教育、各種ネットサービスの市場拡大など、コロナ禍で生まれたITニーズの流れに乗ることができ、IT関連製品や情報サービスの売上が拡大しました。

 今後のコロナの影響については不透明ですが、四半期毎に見ると、上半期に30%の減益となったあと、3Qには8.0%減益まで回復→4Qには17.7%の増益に転じており、見通しは明るさを増しています。

 今期もコロナによる影響が想定され(特に印刷関連サービスで)売上成長は1%程度と緩慢なものですが、引き続き、EV向けなどリチウムイオン電池用パウチ、有機EL部材や画面用フィルムなど電子部材の好調推移がみこまれます。また、引き続き生産体制の見直しと固定資産・投資有価証券の保有見直しを進める計画も、高採算のIT関連製品の伸びと共に、利益率工場に貢献すると見られます。

 また、生産拠点の再編や成長分野の生産能力増強など選択と集中による構造改革の進展具合を見ると、中期的にも、バッテリーパウチや光学フィルム、OLED向け製品など高採算品の成長による収益性向上が期待できると思います。

 成長に向けた投資については基本的に本業で生み出したキャッシュを元手とするようです。2022年3月期~2025年3月期の3年間で3000億円以上の事業投資(18/3期~21/3期の2割増)と1200億円以上の研究開発投資を計画しています。一方、元手になるキャッシュは営業キャッシュフローによって3300億円、政策保有株や遊休資産縮減によって1500億円以上を創出するとしています。利益貢献度の高いエレクトロニクス部門の成長により、良好なキャッシュフローが保たれると思われます。

 財務状況も、自己資本比率57.2%、実質無借金という健全な内容となっています。

【プロフィール】戸松信博(とまつ・のぶひろ):1973年生まれ。グローバルリンクアドバイザーズ代表。鋭い市場分析と自ら現地訪問を頻繁に繰り返す銘柄分析スタイルが口コミで広がり、メルマガ購読者数は3万人以上に達する。最新の注目銘柄、相場見通しはメルマガ「日本株通信」にて配信中。

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