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ウイルテック:業績改善に期待、好財務が評価される割安銘柄

ウイルテック(7087):市場平均予想(単位:百万円)

ウイルテック(7087):市場平均予想(単位:百万円)

企業概要

 ウイルテック(7087)は製造請負・製造派遣を中心に展開する人材サービス会社です。1992年、製造請負事業会社として設立。2000年代には人材派遣の解禁と同時に製造派遣事業を開始し、そこから製造業の「生産・組立」プロセスのアウトソーシング需要を取り込み、高い成長を遂げてきました。そしてこの10年間には修理サービス事業、受託製造事業、電子部品卸売事業と、開発、製品設計、生産・組立、流通・販売、保守まで製造業の一連のバリューチェーンをカバーできる事業体に進化を遂げています。

 従業員数の拡大と共に業績を拡大させており、2021年3月期には8期連続増収を達成。展開する事業セグメントは、主にエレクトロニクス業界に請負・派遣を提供する「マニュファクチャリングサポート事業(21/3期売上高比率68%)」、建設系技術者の人材派遣を行う「コンストラクションサポート事業(同14%)」、電子機器の受託生産や電子部品の卸売を行う「EMS 事業(同12%)」、そしてシステムインテグレーション事業を提供する「ITサポート事業(同4%:21/3期4Qに新設)」の4事業から成ります。

 主力のマニュファクチャリングサポート事業は、製造業の顧客企業の製造現場に対し、請負及び人材派遣のサービスを提供する製造請負・製造派遣事業、エレクトロニクスや機械等の設計関連の技術者を派遣する機電系技術者派遣事業、主に太陽光発電の電源設備やコーヒーメーカー等に修理サービスを提供する「修理サービス事業の3事業で構成されています。顧客の大半は製造業で、3割が電子部品・デバイスなどのメーカー、2割が情報通信機器メーカー、1割が電気機械メーカーと、売上の約7割をエレクトロニクス関連メーカーが占めています。

注目ポイント

 従業員数の増加と共に業績を拡大し続けてきた同社。2021/3期にはコロナ禍の影響があったにもかかわらず8期連続増収を達成しました。従業員の雇用維持と育成を最優先事項としていることもあり、利益面は営業減益での着地となりましたが、中期的な収益確保の観点から見れば一時の痛みに過ぎないことでしょう。短期的にも21/3期4Qには事業環境の好転が確認されており、今期は待機要員の減少による稼働率改善と粗利改善が見込まれます。

 製造業界、特に同社のメインの顧客である情報通信機械器具分野においては、企業や学校におけるリモート化の浸透に加え、新内閣による2021年を目標としたデジタル庁の創設に関する方針発表の後押しもあり、公共・民間ともにデジタル・トランスフォーメーション(DX)推進の動きがより一層加速することが見込まれ、同社にとっても追い風となります。

 同社では、2025年3月期を最終年度とする中期経営計画において、売上高600億円(21/3期252億円)、EBITDA40億円(同14億円)を目標としています。4年間の年間平均成長率は売上高が24%、EBITDAが30%と高い。この原動力となるのは、人材確保に加え、主にはM&Aだと言います。直近もサザンプランとパートナーを子会社化し、事業強化を図っています。

 一方、財務状況について。約12億円の有利子負債がありますが、現金等手元には45億円保有しており、これを考慮すると実質無借金経営となります。同社は本業によって毎期順調にキャッシュフローを生み出し、資金を積み上げてきました。事業規模の拡大とともに、利益剰余金を着実に積み上げることで健全な自己資本比率を維持しています。21/3期末には自己資本比率は56.0%と前期末の56.5%から低下しましたが、これは2社M&Aでのれん(無形固定資産)が増したことで総資産が拡大したことが主な要因です。若干の低下にとどまっているのはプラスに評価されるところかと思います。

【プロフィール】戸松信博(とまつ・のぶひろ):1973年生まれ。グローバルリンクアドバイザーズ代表。鋭い市場分析と自ら現地訪問を頻繁に繰り返す銘柄分析スタイルが口コミで広がり、メルマガ購読者数は3万人以上に達する。最新の注目銘柄、相場見通しはメルマガ「日本株通信」にて配信中。

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