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「世界恐慌前に似ている」日銀総裁交代後の“金融引き締め”が経済危機を加速させる

黒田東彦・日銀総裁(写真左)の任期は残り半年を切った(時事通信フォト)

黒田東彦・日銀総裁(写真左)の任期は残り半年を切った(時事通信フォト)

 支持率急落中の岸田文雄・首相は、「物価対策」を経済対策の柱に掲げて支持を挽回したいと考えているようだが、そううまくいくか。黒田東彦・日銀総裁の任期が、残り半年を切り、総裁交代のタイミングで金融緩和から金融引き締め・利上げへと転換することが予想されるが、それがインフレ抑制につながるかは疑問だ。

 不動産コンサルタントの長嶋修氏が指摘する。

「世界的な物価高騰の原因は小麦をはじめ原材料やエネルギーなどの資源価格の上昇です。欧米の中央銀行はすでに金利をかなり引き上げているが、それでもインフレを止められない。日本は先進国の中でインフレ率はそれほど高くないため、金融政策の転換が後手に回って円安まで招いてしまったが、金融政策だけで物価高騰を止められると考えているなら大間違いです」

 エコノミストたちが一様に懸念しているのは、来年以降の世界経済だ。金融シンクタンク「東短リサーチ」社長でチーフエコノミストの加藤出氏が指摘する。

「悪い円安が止まらず、多くの国民が円で預貯金を持っていたら損をするからと外貨預金を考えるような状況にならない限り、来年4月に誰が日銀総裁になっても、米国のFRB(連邦準備制度理事会)のような急激かつ大幅な金利引き上げは実際はやれず、部分的な正常化にとどまると考えています。

 心配なのは来年の世界経済です。FRBはインフレを抑えるためにわざとアメリカ経済を失速させようとして金利を上げています。それにより、来年春以降にアメリカ経済を中心とする世界経済が大きく失速している状況になっていれば、日銀には金融政策を正常化させる余地はなくなる」

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