日本経済は長きにわたるデフレ不況に苦しみ、停滞期を過ごしてきた。だが、2023年は違う。年明け早々、大企業の経営トップが相次いで「異次元の賃上げ」を明言しているのだ。賃上げは従業員にとって喜ばしいだけでなく、その企業の価値向上にもつながる。日本金融経済研究所代表理事で経済アナリストの馬渕磨理子氏が言う。
「これまでのように内部留保を溜め込むのではなく、人件費を拡大して優秀な人材を集めることは、その企業にとって将来の成長に資するだけではなく、海外の投資家からも魅力的に映ります。社員への還元を積極的に行なう企業の銘柄には、今後、株価上昇が期待できます」
今後も続く物価高に対抗するためには賃金増を期待するだけでなく、それに関連した「投資」も検討に値しそうだ。
本誌・週刊ポストは3人の専門家に協力してもらい、「賃上げ」に関連して上昇が見込める32銘柄を一覧表(別掲)に示した。
まずはやはり今回の大幅賃上げ表明の“ファーストペンギン”であるファーストリテイリング。
「世界水準を見据えた攻めの姿勢は企業競争力の向上に直結するため、この流れは一過性のものではなく今後も業績拡大と株価上昇を続けるでしょう」(馬渕氏)
業績はファストリのように芳しくはないが、すかいらーくHDも経営トップが、経済3団体の新年祝賀会で「2~3%のベア(ベースアップ)に応じる可能性は十分にある」と表明している。
「外食産業はコロナでダメージが大きいものの、経済再開に向かうなかで、人材確保が必須。賃上げ可能であれば、企業収益が改善に向かっているとのメッセージにもなり株高に繋がる可能性は十分ある」(馬渕氏)