億り人「長期株式投資」氏のFIRE達成までの経緯を聞いた(写真:イメージマート)
株式投資で「億り人」になって会社を退職し、自分のやりたいことをやる――投資をしている人にとって憧れる生き方のひとつではないか。それを45歳で実現したのが、投資家の「長期株式投資」氏(ハンドルネーム)だ。同氏が長年勤めた会社を早期退職する決断ができたのは、運用資産が1億円を超えたことに加え、月に30万円ほどの「配当」を安定して受け取れるようになったからだという。そこに到るまでの道のりを聞いた。
長期株式投資氏が投資を始めたのは2004年。サラリーマン4~5年目でそれなりに貯金はあったが、超低金利で銀行に預けているだけでは資産は増えない。そこで株式投資をやってみようと思い立った。
「初めて買った銘柄は玩具メーカーの『タカラ』(2006年にトミーと合併してタカラトミー)です。当時のタカラの株価は500円くらいで、1単元が100株だったので、大体5万円分くらいですかね。株主優待で金色のチョロQ(ミニカー)をもらうことができ、今でも記念としてそれを大事に持っています(笑)。その後はハイリターンを求めて新興市場の個別銘柄に投資するようになりました」(長期株式投資氏、以下同)
10年単位で続けることの重要性
以来、今日まで20年以上にわたり株式投資を続けてきた同氏だが、順調に資産が増えていったわけではない。2006年にライブドアショックで大きな損失を経験。その後、投資対象を大型株にシフトしたが、2008年にはリーマンショックで含み損が600万円まで膨らんだ。
「大きな損失をすると投資を続ける気力をなくしてしまう人もいますが、私はやめませんでした。長期で投資を続けているうちに見えてくるものがある。株式投資の性質として、1年単位だと浮き沈みの振れ幅が大きくなり、大きくマイナスになることもあるのですが、それでも10年単位で続けていくと、一定の期待値(平均していくらリターンを得られるか)に収斂してきます。つまり株式投資というのは“長期で続けてさえいればほぼ確実に儲かるゲーム”なんだと思うんですよ。
もちろんそれは結果論で、投資を始めた当初の私はそんなことは考えもしなかったのですが、失敗してもめげずに続けてきたことで、結果的に株というアセットクラス(投資対象となる資産の種類や分類)の特性、メリットを生かした投資を確立できたのかなと思っています」
自身のハンドルネームである「長期株式投資」を体現した考え方と言えるだろう。