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【注目トピックス 日本株】やまみ:豆腐製造業でトップシェアを誇る、関東県進出でさらなるシェア拡大へ

*09:31JST やまみ:豆腐製造業でトップシェアを誇る、関東県進出でさらなるシェア拡大へ
やまみ<2820>は広島県三原市に本社を構える豆腐・厚揚げ・油揚げなどの大豆加工食品を製造・販売する食品メーカーである。1975年の創業以来、製造ラインの自動化技術や高品質で安価な食品を提供により、業界内で国内トップシェアの地位を確立している。同社の豆腐製造における高い自動化技術と生産能力は他社の追随を許さず、また、加工コストを抑え高品質かつ買い求めやすい製品を目指している。コンビニや外食チェーンからの需要に対応するため業務用市場への対応も強化しており、外食産業向けにカット済み豆腐や特定の料理用途に適した製品の開発・供給を行っている。製品の多様化と供給体制の強化を進めて大手チェーンに応じ、関東進出も果たしている。

主な競合企業としては、豆腐市場最大手である「相模屋食料」、納豆大手ながら豆腐事業も手掛ける「タカノフーズ」、東北を拠点とする「太子食品工業」などが挙げられる。これらの企業はそれぞれ異なる強みを持ち、消費者ニーズや地域特性に応じた製品展開を行っている。ただ、同社の最大の競争優位性は、大量生産に対応可能な全国3工場(広島・滋賀・静岡)を擁することにより、高い生産効率と安定供給体制を実現している点にある。時間当たり生産能力は他社が5,000丁/時間なのに当社は15,000丁/時間であり、これにより、全国規模の量販店や外食チェーンへの業務用製品供給を強みとし、マスマーケットで確固たる地位を築いている。一方で、PRやブランド力においてやや知名度が低い印象があるが、競合と比較して消費者向け高付加価値商品よりも、量販・外食向けの業務用製品に特化した生産体制と価格競争力に優れている。販売価格は他社よりも約15%低く、国際的な食品安全規格の取得も進めており、安定供給と品質管理の両面で高い評価を得ている。

2025年6月期第3四半期累計の売上高は15,833百万円(前年同期比10.4%増)、営業利益は1,326百万円(同25.3%減)で着地した。全ての工場が前年同期比で売上高が増加し、特に関東エリアでの販売好調で富士山麓工場だけでなく、一部商品を関東へ出荷している関西工場の売上も増加している。本社工場は設備を増強した油揚げと厚揚げが好調に推移。昨年秋に本社工場で厚揚げラインの増設と油揚げラインの設備更新を行い、厚揚げラインは2ラインから3ラインに増加し生産能力を 1.5 倍に引き上げた。油揚げのラインは今まで手作業だった工程を自動化することで生産能力を3倍に引き上げており、昨年の冬から本格的な生産に入って売上の増加に寄与している。ただ、昨年手当てした輸入大豆の使用が 2 月まで継続したことに加え、包装資材、エネルギー価格の高止まりの影響を受けて利益は減益となった。

通期の売上高は21,000百万円(前期比10.5%増)、営業利益は1,600百万円(同23.0%減)を見込んでいる。本社工場は設備更新による生産能力増を背景にこれまで納入できなかった取引先への営業を強化し下期は増収にはずみがつく見通しで、富士山工場は上期と同様に既存取引先への新規アイテム導入効果が継続して高水準な増収を維持している。

市場環境では、豆腐製造業は大手小売業者の要望に応えられる大規模事業者への集約が加速度的に進行している。大豆や食用油の価格上昇以外にも、原油価格の上昇による包装材料や物流費など各種コストはさらに上昇しており、高齢化と人手不足から同業他社の廃業も増加の一途を辿っている。このような環境下で、同社は伝統的なお豆腐から収益性の高いカット3P 豆腐や競争力の高い厚揚げ等、取引先に好評な製品への集約を進めており、国内産大豆による高付加価値商品への切り替えを進めている。

同社は中期経営計画を開示しているが、2027年6月期において売上高25,000百万円、営業利益2,400百万円を目指している。大量生産の難易度が高く競争力の高い商品をローコストで製造できるという強みを生かし、圧倒的シェアを持つ中四国市場に加え、関西圏・首都圏においてもシェアアップを図る。さらに、長期的には6,000億円の豆腐市場シェア10%に相当する売上高600億円を目指すようだ。関東圏は引き続き量産品の競争力を浸透させるとともに、今後は既存顧客に対して差別化商品による売り場提案で売上アップを図る。また、原材料価格や物流費の上昇を受けて、2024年以降も段階的な値上げを実施していく方針を示している。もともとが低い価格設定であるため、価格競争力を維持しながら段階的に検討していくようだ。そのほか、IT人材の拡充を図り各工場の「見える化」を進め、ロス軽減・生産効率の向上を図る。

株主還元では、配当性向30%を基本方針としており、利益水準に応じて柔軟に配当額を引き上げていく姿勢を示している。為替環境においては円高が進行すれば、輸入原材料の調達コストが低下し、収益改善の追い風となる。とくに北米や中国産の大豆に依存する他社と比較して、同社は国産大豆の調達力を武器に相対的に安定した価格での原材料確保が可能であり、為替リスクを抑制できる点でも優位性がある。総じて、関東市場の開拓、国産志向の強い商品構成、そして収益拡大に連動した配当政策により、中長期的な成長と株主価値向上の両立を目指す展開が期待される。

<HM>

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