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FiscoNews

【注目トピックス 日本株】サンフロ不動産 Research Memo(5):売上高・利益ともに過去最高を更新

*15:05JST サンフロ不動産 Research Memo(5):売上高・利益ともに過去最高を更新
■サンフロンティア不動産<8934>の業績動向

1. 2025年3月期の業績概要
2025年3月期の業績は、売上高103,174百万円(前期比29.2%増)、営業利益21,279百万円(同20.9%増)、経常利益20,446百万円(同17.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益14,163百万円(同18.8%増)となった。売上高・利益ともに過去最高を更新し、同社が掲げていた中期経営計画の目標を見事に達成する結果となった。特筆すべきは、経常利益が2期連続、親会社株主に帰属する当期純利益が3期連続で過去最高を更新した点であり、事業構造の堅牢さと成長戦略の実効性が強く示された。

中核事業である不動産再生事業においては、多様化する働き方に応じた柔軟なオフィス空間の提供に取り組み、商品企画から販売に至るまでのプロセスにおいて、各部門が密に連携することで、スピーディかつ丁寧な商品化を実現した。累計38件(うちニューヨーク物件2件、不動産小口所有商品3件)の物件販売を達成し、グループ全体の業績をけん引した。また、不動産サービス事業は、貸会議室運営の床面積拡大やプロパティマネジメント受託棟数の増加、さらにはサブリース受託面積の拡大を通じて、堅実な顧客基盤の拡充を実現した。ホテル・観光事業に関しては、旅行需要の回復に加え、インバウンド需要の堅調さも追い風となり、同社グループは運営室数を拡充するとともに、質の高いホスピタリティサービスへの評価を得て稼働率・客室単価ともに上昇した。

経常利益においては、期初の業績予想を一貫して上回る実績を示しており、外部環境の変化に柔軟に対応しながらも、高い予実管理能力と組織的な実行力が継続的に発揮されている。中期経営計画の目標達成という事実が、同社経営陣の先見性と市場変化への機動的な対応力を裏付けており、今後の更なる成長ポテンシャルを示唆するものと弊社では考える。

2. セグメント別の事業動向
(1) 不動産再生事業
不動産再生事業は、売上高71,339百万円(前期比39.8%増)、セグメント利益22,114百万円(同28.9%増)、販売件数は同13件増の38件(うち、ニューヨーク物件2件、不動産小口所有商品3件)となった。リプランニング事業において、売上高・利益ともに顕著な伸長を遂げた。セグメント利益率に関しては28.2%と高水準を維持しており、売却物件のキャップレート(還元利回り)も通期で約3.9%と安定的に推移している。市場の購買需要は引き続き旺盛であり、販売件数38件から、ニューヨーク物件2件、小口所有商品3件を除いた33件の販売先内訳は、国内法人16件、国内個人富裕層4件、台湾個人富裕層12件、その他アジア系投資家1件となっている。台湾富裕層の購買意欲は高く、口コミとリピート需要により販売実績を伸ばしている。仕入れから商品化までの期間を指す平均事業期間は783日と、対前年通期比で96日長期化しているが、新築物件3件(平均1,797日)や長期物件2件(平均2,703日)といった特殊な案件を除いた平均期間は538日であり、効率的な運営が続いていることが読み取れる。引き続き、事業期間にこだわった運営により、高い資本効率性を実現する方針だ。また、通期の仕入れ額は50,783百万円と過去最高額となっており、前期同様50,000百万円を超える仕入を達成している。継続的な事業拡大に向けた供給力の確保が順調に進んでいることが窺える。足元における、契約済み未決済を含む物件の仕入れ額は10,475百万円であり、2026年3月期の通期目標55,000百万円に対して19.0%の進捗を達成している。3月から4月にかけて仕入れに関する情報が多く寄せられており、社内の投資委員会も頻繁に開催されている。

(2) 不動産サービス事業
不動産サービス事業は、売上高12,488百万円(前期比19.0%増)、セグメント利益6,112百万円(同8.9%増)となった。プロパティマネジメント事業では、管理受託棟数49棟の増加により収益が拡大し、ビルメンテナンス事業においても、管理棟数28棟の増加と原価上昇を抑制しながらの価格改定及び付加価値向上が奏功し、増収増益を実現している。賃貸仲介事業は前期比でほぼ横ばいである一方、売買仲介事業は紹介案件の成約に加え、グループ会社である東京陽光不動産股フン有限公司による台湾向け仲介事業の成長により、増収増益となった。貸会議室事業では、増床及び新規オープンによる運営規模の拡大により売上は拡大したが、開業準備費用の増加が影響し減益となった。東京都内の貸会議室需要は検定試験や研修需要のほかにも、近年増加傾向にある会議室を持たない企業や、関連各社が集まる業界団体の研修向けの需要もあり、潜在需要によるポテンシャルは高い。また、滞納賃料保証事業では、契約件数の増加と単価上昇が寄与し、増収増益となった。

(3) ホテル・観光事業
ホテル・観光事業は、売上高18,831百万円(前期比10.9%増)、セグメント利益4,072百万円(同6.8%減)となった。ホテル開発事業では、第4四半期に計画どおりホテル1棟を売却したほか、北海道石狩市、兵庫県加古川市、熊本県熊本市などのプロジェクトが順調に進捗している。加えて、山形県酒田市、青森県六ヶ所村のプロジェクトも着工し、開発案件が同時進行中である。今後も運営ホテルの客室数増加に向けて、M&Aや開発用地の取得を積極的に推進する。ホテル運営事業等に関しては、M&Aによる運営棟数の増加と旅行需要の回復、インバウンド効果により稼働率及び客室単価が上昇し、増収増益を実現している。

(4) その他
その他の事業は、売上高1,992百万円(前期比17.3%減)、セグメント利益435百万円(同44.6%増)となった。建設事業では、工事進捗における前期の反動により減収となるも、大型案件における利益率の改善や、オフィス需要回復による電気通信工事の受注増が寄与し増益となった。また、海外開発事業では、2024年8月に着工したベトナム新規分譲マンションプロジェクト(第2号案件「HIYORI Aqua Tower」)が、2026年秋の竣工を予定している。加えて、ベトナムダナン市における3号物件に向けて、土地仕入の情報収集を同時進行で進めていく。

3. 財務状況
2025年3月期末の資産合計は、前期末比29,529百万円増の218,190百万円となった。事業成長に向けた物件の仕入れ及び工事の進捗により、現金及び預金が2,947百万円減少した。また、リプランニング物件・不動産小口所有商品・ホテル開発・海外開発等の仕入れ及び工事の進捗により、棚卸資産が26,843百万円増加した。固定資産は前期末比5,340百万円増の34,484百万円であり、ホテル開発用地等の仕入れや工事進捗、M&Aの影響により増加した。

負債合計は前期末比18,053百万円増の112,298百万円となった。有利子負債に関しては、物件仕入れに伴う借入れにより同12,918百万円増の92,458百万円となった。短期借入金が38百万円、長期借入金が14,947百万円増加した一方で、1年内返済予定の長期借入金が2,067百万円減少した。

純資産合計は前期末比11,475百万円増の105,892百万円となった。配当金の支払い3,165百万円があった一方で、親会社株主に帰属する当期純利益14,163百万円の積み上げ等により増加した。自己資本比率は同1.2ポイント低下の46.8%であり、積極投資を進めながらも高水準を維持している。財務健全性は盤石であり短期的な懸念事項はないものと弊社では見ている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)

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