*13:03JST リソル Research Memo(3):ホテル運営事業は滞在体験に個性を持たせ、差別化を図る
■リソルホールディングス<5261>の事業内容
1. ホテル運営事業
ホテル運営事業の主力ブランド「リソルホテルズ」は、“物語のあるホテル”というコンセプトの下、女性や旅行客、インバウンド観光客など中長期滞在者を主なターゲットとしている。従来型のビジネスホテルとの差別化を図り、上質な“ツーリストホテル”への転換を推進している。各ホテルには、くつろぎの空間を提供するだけでなく、施設ごとに独自のデザインを施し、滞在体験に個性を持たせている。また、同クラスのホテルには見られない「サービスコーディネーター」を配置し、地域情報を盛り込んだオリジナル周遊マップ「TOURIST MAP」の配布や土地の食材を用いた健康的な朝食を提供するなど、サービス面でも差別化を進めている。加えてインバウンド観光客向けに、書道体験や舞妓の踊りなどのイベントをホテル内で開催し、継続的な稼働率向上や単価上昇につなげている。
「リソルホテルズ」ブランドは、主軸の「ホテルリソル」のほか、上位ブランドの「ホテルリソルトリニティ」や交流型宿泊施設を提供するキャビン型ホステル「リソルポシュテル」などがあり、2025年3月末時点で全国20ヶ所に展開している。
このほか新規事業のリソルステイ事業では、“暮らすように泊まる。”をコンセプトに、滞在型貸別荘「スイートヴィラ」を関東地方中心にドミナント展開している(2025年3月末約80ヶ所)。利用者はデイリー・ウイークリー・マンスリーの3つの滞在パターンから選択できるうえ、家具付きで快適な空間による別荘滞在を体験できる点が特徴である。避暑・避寒を目的とした中長期滞在や、インバウンド、大人数での利用ニーズに対応している。
自社施設の活用に加え、利用率が低い個人の別荘の開発も強化している。開業準備から運営・管理、集客に至る一連の業務を同社が代行するサービスを提供し、オーナーの負担軽減と収益最大化を図っている。その点から「リソルステイ事業」は成長を加速させており、将来的には同社の新たな収益源として期待されている。
なお、同社のこうしたブランドフォーメーションは、利用者に地域や滞在期間、利用目的などの面で「選べる利便性」を提供する一方、同社にとっても、地域・客層・競合など施設の諸条件を慎重に見定めながら運営を最適化できるため、投資戦略やマーケティング戦略を細かく設定できるメリットがある。
ゴルフ運営事業はフェアウェイフロントヴィラ事業を展開
2. ゴルフ運営事業
ゴルフ運営事業では全国で18コース(運営提携2コース含む)を運営し、立地やブランド、サービスなど、ゴルフ場の特性に合った独自の運営スタイルで様々な顧客ニーズに対応している。コロナ禍ではコンペや宴会といった法人需要の減少で業績に大きな打撃を受けたものの、逆に密を避けられる安全な屋外スポーツとして、若者やレディース、80代の後期高齢者を含むシニアを中心に個人の利用が増加した。アフターコロナでは、インバウンドゴルファーの利用が加わり、今後も伸びが期待される。
同社は新規顧客やリピーター客を確保するため、外国語対応などインバウンドゴルファー向けサービスの拡張のほか、シニア・レディース向けの食事やサービス、ティーグラウンドのバージョンアップなどに取り組んでいる。さらに酷暑対策としてクーラー付きゴルフカートの導入を進めている。並行して、ゴルフ場の取得を積極的かつ継続的に進めており、特にグループのブランドを高める高級・上質な施設の取得を目指しているようだ。
国内旅行の長期化及びインバウンドゴルファーの獲得を目的とした新規事業として、“ゴルフ&ステイ”をコンセプトにした高級リゾートのフェアウェイフロントヴィラ事業に注力している。プライベート空間と開放感のある眺望を兼ね備えた、コースに隣接するヴィラを運営している。なかでも、現在運営している「スパ&ゴルフリゾート久慈」と「瀬戸内ゴルフリゾート」に続き、富士山とフェアウェイを望む「大熱海国際ゴルフクラブ」での新設を計画している(2027年開業予定)。既存ヴィラの増設や他コースでの新設も検討している。
またインバウンドゴルファーの獲得に向け、たとえば九州エリアでは「ホテルリソルトリニティ博多」と「唐津ゴルフ倶楽部」が、京都では「関西カントリークラブ」と京都に所在する3ホテルがそれぞれ連携しているように、ホテル運営事業と連携した送客などシナジーを発揮する例も増えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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