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FiscoNews

【注目トピックス 日本株】フタバ Research Memo(5):主要車種向け部品の採用拡大と脱炭素技術の展開が進展

*15:05JST フタバ Research Memo(5):主要車種向け部品の採用拡大と脱炭素技術の展開が進展
■事業概要

(2)フタバ産業<7241>の製品別事業内容
セグメントは世界の市場別に区分しているが、製品別に見ると自動車等車両部品、外販設備、農業製品の製造・販売を事業内容とする。さらに車両部品は、大きくボデー/内装部品、排気系/燃料系部品、足回り部品に分けられる。

(a) 自動車等車両部品事業
(ボデー/内装部品)
ボデー骨格部品を中心に生産・供給する。同社は、成形CAE技術の向上により製品内の応力解析や金型の見込み技術の精度を向上させており、また超ハイテン材に対応した金型構造及び接合技術を確立していることが強みとなって、車両開発の企画・構想段階から車両性能及びモノづくりを両立させた構造の提案を実施している。先代プリウスのフロントピラーアッパアウタはホットスタンプ材を使用していたが、新型モデルでは1470MPa冷間超ハイテン材に変更したことにより、CO2排出量削減及びコスト低減に貢献している。トヨタ自動車向けには、リアフロアパンサブアッセンブリ等の中規模組立部品が2022年にbZ4X、2023年にクラウン(スポーツ)、2024年にランドクルーザー“250”などに採用され、既に量産を行っている。今後は、塑性加工技術、接合技術、ボデー解析能力をさらに向上させるとともに、大型化・一体化部品の開発・提案を進めていく方針だ。

また、インパネ(ダッシュボード)内部にあり、ステアリングやインパネ、オーディオなどを支えるとともに衝突時の乗員保護の機能も併せ持つインパネリインフォースメントなどの内装部品も生産・供給する。同社では、熱歪が少なく溶け落ちがないレーザー溶接を使用することで、アーク溶接では対応できない薄板加工を可能にするだけでなく、強度と剛性の設計技術を生かし、個々の部品ではなくボデーとインパネリインフォースメントなどの全体最適な構造設計・生産を提案していくことができる。

(排気系/燃料系部品)
排気系部品は、エキゾーストマニホールド※1、触媒、センターマフラー、リアマフラーとそれらの間にあるエキゾーストパイプなどから構成される排気系システム※2全体や、個々の部品を開発・生産・供給する。排ガス温度や騒音の低減、有害成分の除去の役割を担うほか、自動車の静寂性や動力性能に大きく影響する最重要部品であり、国内トップシェアを誇る同社の主力製品である。BEV化や車体軽量化に合わせて、浄化及び消音性能を兼ね備えた小型軽量化の排気系システムを提供する。また、ディーゼル排ガス後処理装置も生産しており、ディーゼルエンジンからの排ガスに含まれる粒子状物質(PM)を除去するフィルター装置であるDPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルター)、排ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)を除去する触媒装置である尿素SCR(選択式還元触媒)は、自動車のみならず農機・建機・産業エンジンなど様々な車両に搭載され、排ガス規制はEURO6に対応している。同社は、開発構想段階以降のすべてのプロセスを受託可能なシステムサプライヤーとして高い評価を受けている。2023年には、トヨタ自動車向けにランドクルーザー“70”(日本再導入モデル)の排気系システム及びLEXUS GXやLBXのエキゾーストマニホールドの量産を開始している。

※1 エキゾーストマニホールド:エンジンから高温の排ガスを排気システム(触媒)に送り込む役目を果たす。パイプの複雑な曲げ加工と優れた溶接技術によって排気経路を分割することにより燃費向上に貢献する。
※2 排気系システム:エンジンで発生する騒音の低減や燃焼ガスの浄化及び排気圧力の最適化により、動力性能を向上させる多機能部品。

燃料系部品は、キャニスター※1、フューエルインレットパイプ※2など燃料タンク周辺の燃料系機能部品を開発・生産・供給する。各地域において、蒸散ガス排出規制値の強化及びORVR※3の設置対応が進み、同社ではシンプル構造キャニスターから当社独自のノウハウを織り込み環境規制に対応した多層化構造キャニスターなどを提供する。また、カーボンニュートラルを意識した樹脂リサイクル材の採用に向けたキャニスター開発を進めている。

※1 キャニスター:樹脂製の容器に活性炭を充填させた製品で、燃料タンク内部の圧力調整で揮発ガソリンを放出する際に本製品を通して有害成分を吸着し、クリーンエアーにして大気に放出させる。同社では環境規制が強化される各地域に対応した高機能な製品を開発・供給している。
※2 フューエルインレットパイプ:給油口から、燃料タンクに燃料をスムーズに導くパイプ構造の部品。材質には鉄やステンレスを使用するが、同社では特にステンレスに電着塗装を施す独自技術で高い耐食性を持つ製品を供給する。
※3 ORVR:Onboard Refueling Vapor Recovery(車載燃料蒸発ガス回収装置)の略。

(足回り部品)
衝突時にさまざまな方向から大きな衝撃を受け止めるため、強度、剛性を高く保つフロントサスペンションサブフレーム、エンジンの下側に搭載され地面からの飛び石などからエンジンを保護するエンジンアンダーカバー、前後方向の力を支え、加速・減速及び路面の凹凸に対する衝撃を受け止めるトレーリングアームなどを開発・生産・供給する。

(b) 外販設備事業
自社設備のメンテナンス性や生産性向上のための新技術・新工法の蓄積を生かして、国内外の完成車メーカーの工場へサイドボデーやアンダーボデーなどボデー骨格を組立溶接する大型設備の設計・製作・納入を行っている。創業以来培ってきた高度なノウハウの応用と3次元CAD・CAEを駆使し、強度解析・ロボット適用検討・シミュレーション・ロボットオフラインティーチングなど、工程計画から製品保証までの一貫した受注体制を確立しており、ユーザー目線で得意先のニーズに合わせた汎用・専用・共用ラインを設計製作している。

(c) 農業事業
農業ハウス栽培用に、夜間に使用される燃焼式暖房機の排気ガスを回収・浄化してCO2を貯留し、日中に光合成促進のために再利用する「agleaf(R) CO2システム」を生産・販売する。これには自動車業界で培ったコア技術(排ガス浄化、ガス吸着、熱マネジメント)を応用している。また、この技術を応用して、電動化が困難とされる物流トラックから排出されるCO2を分離回収するシステムの開発を進めている。材料開発分野では大学と、実車検証の分野では物流会社とパートナーを組み、2024年2月には物流会社と合同で公道実験走行を行い、CO2排出量ゼロの状態で約10kmの走行を確認した。また、このシステムを建機(油圧ショベル)にも適用するため、建機メーカーと組んで実験・開発を進めている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)

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