*13:01JST システムサポート Research Memo(1):DX投資拡大を追い風に好業績が継続
■要約
システムサポートホールディングス<4396>は、業界トップクラスの技術力を強みに各種クラウド基盤やERP、データベース等の導入・利用支援を中心に成長を続ける独立系IT企業である。本社は石川県だが事業活動の中心は東名阪で、北米にも子会社を置いている。データセンターサービスやクラウド(SaaS型)サービスで提供する自社プロダクトなどストック型ビジネスにも注力している。機動的かつ柔軟な経営判断を可能にするグループ運営体制を構築すべく、2025年1月に持株会社体制に移行した。
1. 2025年6月期の業績概要
2025年6月期の連結業績は、売上高が前期比22.3%増の26,938百万円、営業利益が同32.8%増の2,218百万円といずれも計画を上回り、過去最高業績を連続更新した。企業のDX投資意欲が引き続き旺盛で、主力のクラウドインテグレーション事業の売上高が同34.6%増と高成長を継続し業績をけん引した。ServiceNow※関連だけでなく、各種クラウド基盤サービス(AWS、Microsoft Azure、Google Cloud等)の移行・利用支援やリセール収入も高成長が続いた。業界全体で技術者不足が続くなかで、順調に人材の採用・育成が進んだことも高成長を続ける要因となった。
※ 米国ServiceNow
2. 2026年6月期の業績見通し
2026年6月期の連結業績は、売上高で前期比18.8%増の32,000百万円、営業利益で同21.1%増の2,686百万円と2ケタ成長が続く見通しだ。ServiceNowの引き合いが依然旺盛なほか、企業のAI活用が進むなかで各種クラウド基盤サービスの移行・利用支援の需要も拡大基調が続く見通しで、同社はマルチクラウドに対応可能な体制を整えている強みを生かして高成長を目指す。また、システムインテグレーション事業も2025年7月にシステム開発を手掛ける(株)エコー・システム(本社:広島県)を子会社化※したこともあり2ケタ成長が見込まれる。エコー・システムの子会社化により手薄だった西日本エリアでの事業基盤を拡大する方針だ。
※ 2024年7月期の売上高は1,415百万円、営業利益123百万円、期末の純資産は286百万円、従業員数は119名(2025年7月時点で125名)。全株式を574百万円(アドバイザリー費用54百万円含む)で取得した。
3. 中期経営計画
同社は2025年6月期の実績及び外部環境の変化等をもとに、3ヶ年の中期経営計画・ローリングプラン(2026年6月期~2028年6月期)を策定した。基本方針は従来と変わらず、「顧客・社会のDX推進の基盤となるサービスの拡充」「多様な人材の成長と活躍」「サステナビリティ経営の強化」に取り組み、2028年6月期に売上高40,153百万円(年平均成長率14.2%)、営業利益3,552百万円(同17.0%)を目指す。収益性の高いクラウドインテグレーション事業が成長ドライバーとなり、利益率も着実な上昇を見込んでいる。人材不足が慢性化するなか、企業のDX投資は今後も拡大を続ける見通しで、同社が主戦場とするクラウド基盤サービス市場は年率18%前後の成長が続く見通しだ。リスク要因としては、エンジニアの採用が計画どおりに進むかどうかだが、同社はここ数年、東名阪及び本社のある石川県で順調に採用が進んでおり、その懸念は低いと弊社では見ている。なお、株主還元については累進配当を基本に業績や利益水準に応じた配当を実施しており、2018年8月の株式上場以降増配を続けてきた。2025 年6 月期の1株当たり配当金は前期比10.0 円増配の50.0 円を実施した。また、2026年6月期の1株当たり配当金も、前期比10.0円増の60.0円と7期連続の増配を予定している。
■Key Points
・2025年6月期は計画を上回り過去最高を連続更新
・クラウドインテグレーション事業をけん引役に2026年6月期も高成長が続く
・中期業績目標を上方修正、営業利益は年率17.0%成長を目指す
・累進配当方針により、2026年6月期は株式上場以来、7期連続の増配を予定
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<HN>