*11:01JST セグエ Research Memo(1):2025年12月期中間期の売上高、営業利益は過去最高値を更新
■要約
セグエグループ<3968>は、東京証券取引所(以下、東証)プライム市場に上場する、サイバーセキュリティとIT(情報技術)インフラ専門の企業グループの持株会社である。培った技術を基盤として、VAD(Value Added Distributor:他社メーカー製品を技術的付加価値とともに販社やユーザーに提供するビジネス)、システムインテグレーション(セキュリティ・ITインフラなどを組み合わせたソリューションを提供するビジネス)、自社開発(セキュリティプロダクト、セキュリティサービスの企画開発)、海外ビジネスの4つのビジネスを展開している。元来はセキュリティ及びネットワーク製品の輸入販売とソリューション提供に強みを有しているが、近年は自社開発ソフトウェアの「RevoWorks※」シリーズの企画・開発・販売に注力し、新たに海外ビジネスも展開している。2026年12月期を最終年度とする中期経営計画では、これら4つのビジネスの拡大に加えて、M&Aによる業績の上乗せを目指している。
※ RevolutionとWorksを合わせた造語で、最新コンテナ技術を用いて、強固なセキュリティと高い利便性を実現する独自のインターネット分離のセキュリティ・ソリューション。
1. 2025年12月期中間期の業績概要
2025年12月期中間期の連結業績は、売上高10,000百万円(前年同期比18.9%増)、売上総利益2,558百万円(同20.3%増)、営業利益685百万円(同97.5%増)、経常利益677百万円(同8.4%減)、親会社株主に帰属する中間純利益402百万円(同7.2%減)となった。売上高はVADビジネス中心に好調に推移し、売上総利益は売上高の伸長及び売上総利益率の改善により増益となった。営業利益は、売上総利益の増加に加え、株主優待制度の見直しやM&A関連の一時費用がなくなったことにより大幅増益となった。その結果、売上高、売上総利益、営業利益は過去最高値を更新した。ビジネス別業績では、VADビジネスは、複数の大型案件の売上計上と収益改善により増収増益となった。システムインテグレーションビジネスは、サービス業のエンドユーザーへのインフラシステム案件により増収ながら外注比率の増加もあり、減益となった。自社開発ビジネスは、RevoWorks案件を中心に好調で、セキュリティ関連サービスも着実に伸長し、増収増益となった。海外ビジネスは、新たにFirst One Systems Co., Ltd.が加わり、大幅な増収増益となった。2025年12月期中間期末は1株当たり6.0円と前年同期比1.0円増の中間配当を実施した。
2. 2025年12月期の業績見通し
2025年12月期の連結業績については、2025年8月に期初予想を上方修正し、売上高24,800百万円(前期比32.5%増)、営業利益1,512百万円(同110.0%増)、経常利益1,480百万円(同39.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益780百万円(同53.6%増)を見込んでいる。2024年12月期決算発表時の期初予想では、オーガニックな事業成長に加え、M&Aで追加となった2社の通期での寄与、株主優待費用の見直しにより、期初より増収増益を予想していたが、中央省庁向け超大型案件を含め受注が順調に進捗し、足元の業績も好調に進捗していることから、中間期決算発表時に売上高及び各段階の利益を上方修正した。修正予想に対する中間期の進捗率は、売上高が40%、営業利益及び経常利益は45%強にとどまっているが、VADビジネスで受注した超大型案件の業績貢献は下期以降に本格化すること、また従来下期偏重の決算であることから、予想達成は十分に可能であると弊社では見ている。期末配当については1株当たり7.0円を予定し、年間配当は13.0円(前期比2.0円増)となり、配当性向は基準とする50.0%を超える52.9%になる見込みである。株主優待も継続しており、株主還元にも十分に配慮していると言える。
3. 中長期の成長戦略
中期経営計画「Segue300」(2024年12月期~2026年12月期)では、最終年度に売上高26,000百万円、営業利益1,800百万円、経常利益1,800百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,050百万円を目指す。さらに、M&Aを織り込んだチャレンジ目標として、売上高30,000百万円、営業利益2,000百万円、経常利益2,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,178百万円を掲げている。業績目標達成のために、「基盤となる技術者の大幅増員」「既存ビジネスの成長」「変化、改革」「企業価値向上」に取り組み、サイバーセキュリティニーズ拡大への対応や海外ビジネスの確立を図る。既にM&Aにより海外ビジネスを立ち上げ、また2025年12月期の業績予想を上方修正するなど、中期経営計画の業績目標達成に向けて順調に推移している。引き続き、今後の進捗状況に注目したい。
■Key Points
・2025年12月期中間期は、VADビジネスが複数の大型案件により好調で、また前年同期の一時費用がなくなり、売上高及び営業利益は過去最高益を更新。中間配当の増配を実施
・2025年12月期通期の業績予想を上方修正。下期はVADビジネスで超大型案件の業績貢献を見込む。期末配当を増配するなど、株主還元にも十分に配慮
・中期経営計画「Segue300」は、従来からのビジネスの伸長に加え、M&Aの活用により海外ビジネスを立ち上げるなど、順調に規模を拡大
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
<HN>