*15:17JST プレミアグループ:中古車領域経済圏を拡大する総合プラットフォーマー
プレミアグループ<7199>は、オートファイナンスや故障保証、オートモビリティサービスを中心に、国内最大級の中古車領域経済圏を形成している企業である。自動車販売店や整備工場といった中小事業者を対象に、クレジットや保証、部品・ソフトウェアを含む多様なサービスを提供し、業務効率化や収益拡大を支援している。セグメントは大きくファイナンス事業、故障保証事業、オートモビリティサービス事業に分かれ、それぞれが相互に補完し合うことでプラットフォーム型のビジネスモデルを構築している。特にカープレミアクラブ会員ネットワークは4,500社・店舗超まで拡大し、国内でも有数の規模に成長しており、安定した会員基盤を背景に業績も複数年にわたり右肩上がりの推移を続けている。
同社の強みは、第一にファイナンス事業の高い市場シェアである。中古車ローンにおいて全国的な拡販を進め、クレジット債権残高は8,000億円を突破するまでに積み上がっている上、市場規模は5兆円を超えるため成長余地も大きく、安定的な利息収益と高い成長性を併せ持つ点が特徴である。第二に、モビリティサービス全体に広がる多角的な事業ポートフォリオである。ファイナンスサービスを基盤にしつつもそれ以外のサービスが売上の約半分を占めている。特に故障保証事業における自社保証は前年比で約50%の伸びを記録し、OEM保証の回復と合わせて利益率の改善にも寄与している。部品内製化の推進によるコスト低減も進み、継続的に利益を押し上げる構造を確立している。第三に、会員組織「カープレミアクラブ」の拡大によるプラットフォーム効果である。ディーラー・ガレージ合計で国内最大級の会員数を誇り、サブスクやソフトウェア、部品販売など周辺サービスを展開することで、取引の多角化とクロスセルを実現している。また販売店・整備工場目線で見た時に、中古車購入に加えてそれに付随する多様なサービスを一括で利用でき、ディスカウントも受けられるという明確なメリットを享受することができる体制を築いている。
2026年3月期第1四半期の業績は、営業収益10,296百万円(前年同期比18.7%増)、営業利益1,585百万円(同13.1%減)と増収減益となった。減益の要因は、前期のシステム障害に伴う対応費用の一過性負担であり、これを除いた税引前利益は2,430百万円(同29.5%増)と大幅な増益を確保している。セグメント別では、ファイナンス事業が営業収益5,797百万円(同20.5%増)と牽引し、クレジット残高の積み上げが進んだ。故障保証事業は営業収益1,889百万円(同12.9%増)と安定的に成長し、自社商品の拡販が利益率を高めた。オートモビリティサービス事業は営業収益2,485百万円(同13.7%増)と伸びたものの、車両販売の市況悪化で利益はやや減少した。通期計画は営業収益42,000百万円(前期比15.4%増)、営業利益9,000百万円(同31.4%増)とし、第1四半期の進捗率は営業収益24.5%と順調である。
今後の成長見通しとして、中期経営計画「ONE&ONLY 2026」では、営業収益440億円、税引前利益102億円を2026年3月期に目指す方針を掲げている。重点施策としては、カープレミアクラブの会員拡大とブランド力強化、ファイナンスのDX推進による効率化、故障保証商品の拡販と原価低減、モビリティサービスにおけるサブスク新商品の開発やソフトウェア展開などがある。加えて伊藤忠商事との資本業務提携により、国内外での協業を進め、事業領域の拡充と競争力の強化を図っている点も大きな成長ドライバーである。
株主還元については、中期経営計画期間中にA格以上の格付取得を目指す一方、利益成長に応じた継続的な増配を方針としている。2026年3月期は年間54円(前年40円から増配)の配当予想を公表しており、着実に配当額を引き上げている。事業成長フェーズにあるため内部留保を投資に充てつつも、投資家への還元を機動的に実施していく姿勢が示されている。
総じて、同社はクレジット・保証を基盤とした安定成長に加え、カープレミアクラブの拡張を通じて多様な収益基盤を創出している点が注目される。システム障害の影響がありながらも、今後は利益水準の改善とともにプラットフォーマーとしての成長が加速するとみられ、引き続き同社の動向に期待していきたい。
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